シートベルトが「凶器」と化すのはなぜ?

 では実際に、体格に合わないシートベルトをしていると、衝突時にどのような危険があるのか。典型的なのが「サブマリン現象」と呼ばれる挙動である。

 これは、衝突の衝撃で身体が前方へ投げ出されそうになった際、体格や着座姿勢が原因となり、腰部分のベルトが骨盤で止まらず、身体がベルトの下に潜り込む(サブマリン)ように下方へ滑ってしまう現象だ。その結果、本来は強固な骨盤で受け止められるはずの衝撃が、柔らかい腹部に集中し、内臓などに深刻なダメージを与えるのである。

 このリスクは、子ども特有のものではない。交通事故総合分析センターが発行する「ITARDA INFORMATION」によれば、時速50km未満の前面衝突の際、155cm未満の小柄な高齢者においてはとくに、シートベルトによる胸部・腹部・腰部への加害リスクが高まることが報告されている。

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 もちろん車外放出などの致命的なリスクを防ぐうえでシートベルトの装着は必須だが、身体に合わない状態では、これが凶器となってしまうケースも珍しくないのである。

「目立たぬ安全装置」がリスクを左右する

 上のような被害を防ぐためには、ジュニアシートやブースターシートなどによって座面をかさ上げし、腰ベルトが骨盤の低い位置を通るよう、そして肩ベルトが鎖骨を通るように調整することが大前提となる。

©yamasan/イメージマート

 しかし、座面のかさ上げだけでシートベルトによる負傷リスクをなくせるかといえば、そうとも言い切れない。問題を複雑にしているのが、「座席ごとの安全装備の格差」だ。