「軽乗用車」と一口に言っても大きな違いが

 たとえば同年に発売したスーパーハイトタイプの軽乗用車2車種(プリテンショナーとロードリミッターを後席に装備したモデルと非装備のモデル)を比べると、やはり前面オフセット衝突時における後席乗員の胸部変位量に1.5倍ほどの開きが生じ、非搭載のモデルでは重傷化リスクが高まるとされる水準(42mm)をオーバーしているのである。

 もちろんこの数値の違いはシートベルトの機構によってのみ生じるものではないし、胸部変位量だけが車の安全性を決定するわけではない。しかし、シートベルトはどのような衝突形態であっても身体へのダメージにつながる可能性のある装備だ。子どもの安全を期するのであれば、こうした機構の有無を確認しておくに越したことはないだろう。

多角的な視点からの対策を

 子どもを車に乗せることは、時速数十キロで移動する鉄の塊の中に、柔らかな身体を預けることを意味する。何気ない移動中も、適切に子どもを着座させていなければ、子どもは死と隣り合わせなのである。

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 子どもを事故の被害から守るには、法的な義務をクリアするだけでなく、多角的な視点から防衛策を講じる必要がある。まずは身長150cmを目安に、シートベルトを適切に装着できるようになるまで、ジュニアシートやブースターシートを使い続けることだ。

 もちろん十分な体格に達したあとも、万が一の際のサブマリン現象を防ぐため、適切な着座姿勢を保つよう子どもに十分に伝えておく必要がある。

 また、チャイルドシートやジュニアシートそのものの性能についても、メーカーの謳い文句を鵜呑みにせず、第三者機関のテスト結果を参照するとよい。日本ではNASVAがチャイルドシートの安全性評価を行っており、また国外の信頼ある機関としてはドイツ自動車連盟(ADAC)がより厳格な基準からテストを実施し、結果を公表している。

 自動車を購入する際にも、衝突安全性についての視点をもっておくとよいかもしれない。カタログだけではなく、NASVAの自動車アセスメントなどを参照し、後席乗員の保護性能を客観的にチェックしたい。

 子どもの命はお金で買えないが、車に乗っているときの安全性は、事前の情報収集といくらかの追加資金、そして日頃の意識によって大きく改善できる。一方、子どもは自分の手で自動車乗車中の事故に備えることができない。安全な環境を用意できるのは、保護者をおいてほかにいないのである。

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