福岡市と青梅市の事故車両の“共通項”

 冒頭で触れた福岡市と青梅市の事故車両には共通項があり、死亡した子らが座っていたシートには「プリテンショナー」と「ロードリミッター(フォースリミッター)」というシートベルトの安全機構が備わっていなかった。

 プリテンショナーというのは、事故などで衝撃を検知した際、瞬時にベルトの緩みを巻き取り、身体を固定するための機構である。これにより、上半身が前方へ大きく振られるのを防ぎ、車内パーツへの衝突や頸椎へのダメージを軽減する。

 一方、ロードリミッターはベルトによる負荷が一定以上にならないよう調節する機構だ。プリテンショナーとの組み合わせにより、事故時に身体を適切に拘束しつつ、内臓などへのダメージを軽減する効果が期待できる。

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 いずれも安全装備として消費者から注目されることは少なく、また実際の効果について検証した研究も多くない。しかし、フィラデルフィア小児病院の研究グループが「ブースターシートを装着した子どもに対するシートベルトによるダメージ」を分析した論文においては、プリテンショナーとロードリミッターが胸部や腹部の変位量を低減し、負傷リスクを抑えることが示されている。

 現在の乗用車であれば、運転席や助手席にはほぼ標準装備されているこれらの機構だが、コストやスペースの制約から、軽自動車やコンパクトカーの後部座席、ミニバンの3列目などには装備されていないことがある。

 この2つの機構の有無による安全性能の差は、自動車事故対策機構(NASVA)による自動車アセスメントの結果にも表れている。例を挙げよう。