共演者の方たちとの、長きにわたる関係
――現場の雰囲気が素晴らしいとのことですが、キャストやスタッフの皆さんともすっかりお馴染みで、和気あいあいとされていますね。
北大路 もう9作目になりますからね。衣装も皆で相談したり、ロケ地にしても「なるほどー」と感心する場所がいつも選ばれていて、行くととても感動します。
また、キャストに関しては、この作品は“利他の心”を持っている人が多くバランスがすごく取れています。
今回の一つのテーマとして、熊太と榊の男の友情、というものがあります。二人とも「誠を貫く」精神がものすごく強く、お互いを信頼し尊敬しあう深い関係性があります。これまで清左衛門と熊太は、そういう話はあまりしてこなかったので、「熊太にはこういう一面があったのか」という新しい発見があり、刺激になりました。
――長い付き合いである清左衛門と熊太の関係が、更に深まった印象を受けました。
北大路 伊東四朗さんと初めて共演したのは、「男子の本懐」(1981)というドラマでした。私は浜口雄幸という総理大臣の役で、伊東さんはいつも髪を切りにきてくれる床屋さん役でした。世間話をして髪を切りながら、総理大臣の気持ちをほぐしてくれる設定でしたが、伊東さんはそのまま私自身の気持ちも、うまくほぐしてくれました。
その後は「銭形平次」で、長い間共演しました。そういった長きにわたる関係が「三屋清左衛門残日録」でも滲みでていて、伊東さんとは自然に作品の世界に入っていけるのだと思います。
――榊甚左衛門を演じられたのは藤岡弘、さんですが、ご子息の藤岡真威人さんとは、前作の第8作「春を待つこころ」で共演されています。
北大路 藤岡弘、さんはテレビドラマ「徳川剣豪伝 それからの武蔵」(1996)で、初めて共演しました。藤岡さんは柳生十兵衛を演じて、宮本武蔵を演じる私との立ち回りがありましたが、これがものすごい迫力でした。
前作、真威人くんとの撮影現場に見にいらして、それが約30年ぶりの再会でした。本当に、お互いにとって幸せなことですよね。
そうしたら、今回は共演できるということで、いろいろなご縁がつながっている、と感慨深いですね。シリーズを長く続けてきたからこそだと思います。
――藩に資金を用立てて、開墾工事を支援する富商・能登屋を演じる上川隆也さんも、存在感がありました。
北大路 以前、上川さんにお会いした際、「いつか『三屋清左衛門残日録』に出たいです」と話してくださり、冗談かと思っていたら、今作に能登屋役で出演されることになり、とても驚きました。
役柄にしっかりと対応してくださり、作品のスケールや品格がグッと上がりました。
さらに、佐藤流司さんと山谷花純さんが演じる若い夫婦が、新しい息吹をもたせてくださいました。お二人が物語のなかで体験してきたことは、並大抵のことではないです。清左衛門はなんとか力になりたくて、精一杯やっているのですが、それでも限界がある。
その「精一杯」を、彼らは受けとってくれる。ものすごく重いテーマを抱えながらも、しっかりとお互いを思いやる気持ちがある——。心が洗われる出会いや触れ合いが生れましたね。
