あわてて現地に向かう

 慌てて現地に向かい、午後0時50分頃に控室へ。立会人の島朗九段に挨拶する。一緒に検討しているのは、奨励会員の川村悠人三段と木村友亮三段だ。島は「立会人解説のために、普段の研究会でお世話になっている2人を呼んだんです。心強い味方です」とにっこり笑う。

 彼らによれば、公式戦での前例こそないものの、この形は水面下で研究されていたそうだ。とはいえ、永瀬の指し手の早さには皆も驚きを隠せない。「もう終盤の入り口で、一手一手が重いですね」と言い、ふと「会話の内容が1日目の昼食休憩ではないなあ」と漏らした。

木村友亮三段(左)と川村悠人三段による検討を見守る筆者(中央)

「我々ではついていけませんね」

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「全くです」

 島と顔を見合わせて苦笑い。

「助っ人を呼んだのは妙手でしたね」

「良い手だったでしょう」

「ここは長考だろう」と思っていた矢先に…

 午後1時30分、休憩が明けると、永瀬は本格的に藤井陣への侵攻を開始した。角を打って香を取りつつ馬を作る。対して藤井も馬を作った。すでに終盤戦だ。「ここは長考だろう」と思っていた矢先、「あ、指した」と声が上がる。

 え、9分?