しかし、その高齢者においても想定外の変化が起こっています。「社人研2023推計」では高齢者数は2043年にピークを迎えその後減少するはずでした。ところが、2025年からすでにその減少が始まっているのです。総務省統計局による人口推計の発表では、2025年6月の人口確定値から高齢者の人口は減り始め、その状況が少なくとも5ヵ月続いています。想定外の人口減少がすでに発生しているのです。
他のデータにおいても、政府の推計以上に実際の人口減少は極めて深刻です。
2025年2月、新聞各紙は「出生数最少72万人」の記事を報道しました。2024年の出生数を見ると、政府の想定より15年も早く少子化が進んでいるのです。「社人研2023推計」では、24年の出生数の推計値は77万9千人となっており、72万人台になるのは2039年のはずでした。
24年に出生数72万人という数値は社人研の出生低位推計の数字に近く、こちらの推計に基づけば、2040年の日本の人口は1億1067万8千人となります。生産年齢人口では、2030年は7075万7千人、2041年には6074万1千人となり、11年間で働く世代が1000万人も減少するというすさまじい将来が予見されます。
人口問題は政府の政策にも直接的に影響します。
少子化の進展は、政府の社会福祉予算に直結します。将来の医療給付費の予測は、現役世代が負担する保険料と公費で賄う社人研の中位推計の数値に基づいて立てられています。その計算では医療給付費は20年度比で48%増の63 兆円、介護は71%増の19.5兆円(「昨年の出生数最少72万人」2025年2月28日朝刊、日本経済新聞)と中位推計においても膨大な費用となっています。
それに輪をかける厚労省の発表がありました。2025年8月29日の発表では、25年1月から6月までの出生数は前年同期比3.1%減の33万9280人に留まりました。このペースであれば25年の出生数は68万人程度となると見込まれます。
実際に進行している少子化は、政府の想定をはるかに超える厳しいものです。そうであれば外国人の受入れを含めて、ありとあらゆる手段で人口維持を図る必要があります。
危機的な労働者不足
すでに現時点で労働者不足は深刻化しています。リクルートの調査では、2025年の採用予定数を満たすことができなかった企業が6割にも達しており、新入社員の確保においても人材不足の深刻化が窺えます。
東京商工リサーチの調査では、2024年の人手不足関連倒産は289件と2013年以降で過去最高となりました。倒産の原因として求人難が114件で最も多く、人件費高騰が104件となっています。業種別ではサービス業が最も多く、建設や運輸などの労働集約型の産業で増加が目立っています。
