海外からの“人口流入”が加速している。移民政策や多文化共生を専門とする関西国際大学客員教授の毛受敏浩氏は「日本の人口減少が急激に進む中で、外国人の増加は必要不可欠なこと」と指摘する。
しかし、昨年7月の参議院選挙や先日行われた衆議院選挙で「日本人ファースト」を掲げた参政党が議席を増やしていることからもわかる通り、外国人に対する抵抗感は強くなる一方だ。差し迫った状況の中で、ジレンマが続いている。
ここでは、毛受氏の『移民1000万人時代 2040年の日本の姿』(朝日新書)より一部を抜粋してお届けする。タブー化されて進まない「移民問題」の本当の解決策とは?(全4回の3回目/続きを読む)
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歪んだ移民像
日本で他国以上に「移民」という言葉がタブー視されているのは、移民についてのネガティブなイメージがSNS等で喧伝され、それが広く浸透しているからです。日本に定住する外国人はすでに増加しており、また彼らが日本にとって必要であることが分かっていながら、政府は正面から「移民政策」をとることを明言できないのです。そのことが改めて明らかになったのは、2025年10月の自民党の総裁選挙でした。5人の候補者は全員、移民について後ろ向きの発言に終始したのです。
しかし、繰り返すまでもなく、日本は単に短期的な外国人労働者を受入れるだけではなく、彼らの定着と活躍を促進していく必要があります。数年間の日本での在留で、社会に馴染み、日本語を覚え、仕事にも慣れた若者を期限が来たからといって帰国させることを繰り返しているだけでよいはずはありません。外国人の受入れを考える上で、「移民のタブー化」からいかに脱却するかは、どのような政権であろうとこの現実から逃げることはできない課題です。
このままでは政治的な意図から移民・難民を排斥しようとするプロパガンダによって、移民のタブー化が一層深まり、外国人労働者の減少、あるいは歪んだ形での外国人の増加が続きます。それはとりもなおさず、人口減少の波をもろに受ける社会基盤の持続性への危機であり、また結果的に不安定な立場の外国人が増加することによる、将来の治安の悪化を招くことにつながります。
この状況を打開するには、人口減少の深刻化と外国人急増の近未来を見通した上で、国民を巻き込み、移民について正面から議論をする必要があります。移民に関する議論は数十年前から底流として続きながら、政府は避け続けてきました。年間100万人という日本人の減少が迫る時代に、移民ジレンマを続けていく余裕は本来ないはずです。このままの状態では日本の将来は危ういと言わざるを得ません。
