働き手か? 日本で夢をかなえる外国人か?

 テレビ番組「朝まで生テレビ!」で移民問題を取り上げたことがありました(「激論!ド~する?!日本の未来~人口減少と移民の是非~」2024年6月28日「朝まで生テレビ!」BS朝日)。日本に長く在住する外国人タレントや外国人評論家が参加していましたが、興味深いのは彼らの多くが移民の受入れに対して、慎重論や反対意見を表明したことです。

 先述した通り国連によれば、移民とは「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも十二ヵ月間当該国に居住する人」のことです。つまり、本人の意図に関係なく、12ヵ月以上、外国籍の人間が日本に滞在すれば、国際的には「移民」と考えられます。

 しかし、テレビに登場した外国人(日本国籍をすでに持っていれば別ですが)は流暢な日本語を話し、長期に日本で暮らしている人たちです。つまり、彼ら自身は移民であり、移民の受入れに反対するということは、自己否定になるはずです。しかし、そのことに気づいている様子はなく、また他の日本人もその事実を指摘しませんでした。

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 このことが示しているのは、日本で一般的に考えられている「移民」は国連の定義の移民ではなく、後ろ向きな価値判断を含んでいるということです。

 直截に言えば「日本語が不自由であり、教育レベルが低く、低賃金で働く外国人やその家族」を移民として想定しているのではないでしょうか。テレビに登場した彼らは日本に住む外国籍の人間ではありますが、そのカテゴリーには属さないので、自分は「移民」ではないと考えているのでしょう。

 こうした価値観を含んだ「移民」(「ネガティブ移民」と呼びます)の認識は実はヨーロッパでも見られます。たとえば「パリ郊外の移民地区」といえば、実態はともかく、想像されるのは町が汚く貧困者が徘徊する犯罪多発地域というイメージでしょう。ほぼスラム街と同様に認識されるのかもしれません。

 こうしたイメージが「移民」であれば、移民には来てほしくない、日本がそのようになってほしくないと考えるのは当然です。

本格的な移民政策の必要性

 一方、今後、日本ではあらゆる分野で外国人が増えていくことが想像されます。そして彼らは日本で一年以上、住み、家族を形成していきます。これは国連で言う「移民」です。

 彼らは日本に期待を持ち、自分の夢を日本でかなえようとして来日します。彼らはこの時点では本来、ネガティブな存在ではありません。しかし、「ネガティブ移民」になってしまうかどうかは、日本の対応が大きく関わっているのです。

写真はイメージ ©AFLO

 まず、どのような人材を受入れるかについては、政府が定住を前提として各自の日本語や職務能力などの要件を定めることが求められます。そして受入れ後に日本人と同等に活躍できるように導けるかは、移民政策の中の「統合政策」と呼ばれる、受入れ後の政策対応のあり方にかかっているのです。つまり国連で言う「移民」を日本国内で「ネガティブ移民」にしない政策こそが重要であり、それこそが本来の移民政策と言えます。