元衆議院議員でタレント・実業家など多方面で活動をする杉村太蔵さん。実はもっともしっくりくる肩書きは「投資家」だという。1月、『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)を上梓した杉村さんに、新NISAの真の意味と、日本経済の構造について聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年1月31日配信)
投資家としての自信「“超一流”だと思ってる」
――1月に投資本を出されましたが、この本にかけた労力は相当なものだったとか。
杉村 これまで出した本にかけた労力とは桁違いです。2025年、私が文藝春秋の本社にもっとも多く通った人間なのではないかというくらい、何度もお邪魔しました。担当編集者の薗部さんに壁打ち相手になってもらい、一字一句、すべて自分で書きました。
――政治家もタレントもやっている杉村さんですが、投資家としての自負は。
杉村 投資家としては、自分は“超一流”だと思っています。これが一番自信がある分野なんです。私、杉村大蔵流の投資術は、本当にすべての人の参考になると確信しています。その神髄をこの本に思う存分書かせていただきました。
証券会社と国会議員、2つの視点
――杉村さんの投資術の特徴はどこにあるのでしょうか。
杉村 証券会社で培った投資のノウハウは、いわばミクロ経済の話です。そのミクロを学んだ後、私は衆議院議員の4年間でマクロ経済を実体験しました。あの4年間は、まさに『家政婦は見た』ならぬ『大蔵は見た』ですよ。この国にはカネの流れに法則があることが見えてきたんです。
――ミクロとマクロ、両方を経験したと。
杉村 証券会社の雑用係から始まり、衆議院議員を経て、メディアでコメンテーターになるという経歴の人間は、案外いないものです。そうした経験の中から私は、国の経済財政諮問会議が出している「骨太の方針」に注目しました。これを読むことは、本当に心から自信を持ってお勧めできることです。
トリクルダウンは失敗した
――マクロ経済の視点から見えてきたものは何ですか。
杉村 この四半世紀で、企業の利益は8倍になりました。企業が貯めた内部留保のうち、現預金だけで今や300兆円を超えています。一方で、法人税の税収は、かつて10兆~12兆円程度だったものが、ここ最近でも14兆~17兆円程度にしか増えていないのです。
――企業は儲かっているのに、税収は増えていない。
杉村 企業の利益は8倍になっているのに、企業が払う法人税はほぼ横ばい。一方で私たちの給料は変わらないにもかかわらず、消費税は2.4倍になりました。これは、やはり企業がもうかればしたたり落ちるように人々にも利益が落ちてくる「トリクルダウン」が失敗したということでしょう。

