カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得以来、アカデミー賞をはじめ各国の映画賞で快進撃を続ける『センチメンタル・バリュー』(ヨアキム・トリアー監督)。ノルウェーを舞台に、映画監督の父と娘たちの複雑な関係が、彼らの「家」と「映画作り」を通して描かれる、珠玉の映画だ。主人公である舞台女優ノーラ役のレナーテ・レインスヴェ(『わたしは最悪。』)と、その妹のアグネスを演じるインガ・イブスドッテル・リッレオースにインタビューを敢行。2人は米国アカデミー賞で主演女優賞と助演女優賞にそれぞれノミネートされており、その繊細で自然な演技の裏側を聞いた。
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『センチメンタル・バリュー』のあらすじ
ノルウェーの首都オスロで役者として活躍する姉ノーラ(レナーテ・レインスヴェ)と、子役だったが今は穏やかな家庭を築いた妹アグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)。母を看取ったところへ、別れた父で映画監督のグスタフ(ステラン・スカルスガルド)が現れ、15年ぶりの新作映画の主演をノーラに依頼する。だがノーラはその申し出を拒絶。グスタフはハリウッドの人気スター、レイチェル(エル・ファニング)からの申し出を受け、彼女を主演にすることを決めるが、一方でアグネスの息子を映画に出すことにこだわる。撮影が家族の思い出の家で行われることを知り、ノーラもアグネスも心を乱されていく。
同じ親から生まれても、異なる親を体験する
——これは姉妹と父の物語であり、姉ノーラは、子役として父の映画に出ていた妹アグネスに対し複雑な感情を持っているように見えます。そしてどこか不安定なノーラに対し、妹であるアグネスの方が大人というか、姉のようでもありますね。私も姉妹で育ったのでとても共感する部分があったのですが、この姉妹の関係性についてお2人で話し合いましたか?
インガ ええ、とてもたくさん話しました。成長の過程は人によって大きく異なる、ということを特に話しましたね。私の演じたアグネスは妹ですが、若くして結婚して母親となり、さらに病気の実母の面倒も見てきたので、ケアテイカーとしての役割に疲れてしまっている。彼女は素晴らしい姉に恵まれてもいるんですが、アグネスは強くて潔い性格であり、結局は色々なことを引き受けるんですね。

