テディベアを抱きしめて
——この映画は、彼女たちが生まれた家も登場人物の1人と言えます。お2人は映画祭などで世界中を飛び回っていると思いますが、何か「家」を感じさせるようなものを持っていきますか?
レナーテ 私は人を連れて行きたいけれど、それは難しいですね。カンヌへは家族やパートナーを連れて行きましたが、普段はしません。だから、「家」のような感覚を旅先で得るのは大変なんです。
インガ 私は実は、子供の頃からの友だちであるテディベアをカンヌに連れて行こうと思っていたんです。このテディベアは、人生の様々な大きな出来事にずっと付き添ってくれましたから。でも、家を出る時に息子がそのテディベアを手にしていたので、「私の代わりにクマちゃんを抱きしめておいてくれる?」と言ったら、「うん、抱きしめておくね」と言ってくれました。だから逆説的ですが、クマちゃんを家に置いてきたことで、まるで私が家に子供といるような気分になれました。
レナーテ・レインスヴェ ノルウェー出身。舞台を経て、ヨアキム・トリアー監督『オスロ、8月 31日』(11)で映画デビュー。2021年『わたしは最悪。』では、第74回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞。そ同作品でBAFTA賞も受賞しているほか、世界17の映画賞で女優賞にノミネートされた。そのほかにA24制作『顔を捨てた男』(24)、『The Backroom』(26)など。ノルウェーの演劇賞であるヘッダ賞を受賞した。
インガ・イブスドッテル・リッレオース ノルウェー出身。主な主演作に、NETFLIX作品『ビューティフル・ライフ』(23)や『ラスト・キング』など。ヨアキム・トリアー作品はこれが初めての出演となる。
『センチメンタル・バリュー』
監督:ヨアキム・トリアー/出演:レナーテ・レインスヴェ、インガ・イブスドッテル・リッレオース、ステラン・スカルスガルド、エル・ファニング/2025年/ノルウェー・ブランス・デンマーク・ドイツ/133分/配給:ギャガ/2月20日より全国公開/© 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE
3月15日に発表される第98回アカデミー賞では作品賞などに加え、主要部門8部門で9ノミネート。特に主演女優賞(レナーテ・レインスヴェ)、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)、助演女優賞(インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング)と、主要キャスト4人が演技賞候補となったことが話題となっている。タイトルは「情緒的な価値」の意で、家の価値にそこで暮らした家族の記憶は含まれるのか、という意味合いがある。

