ストップした中国からの投資
――ラテンアメリカで影響力を強める中国への牽制の意味合いもあったのでしょうか。
山下 「米国の“裏庭”を荒らすな」という、西半球に対する支配権を強化するドンロー主義があることは間違いありません。昨年11月に公表された国家安全保障戦略では、「非西半球の競争相手が、西半球に軍隊やその他の脅威となる能力を配置したり、戦略的に重要な資産を所有、支配する能力を否定する」と記されていて、中露の影響力排除をはっきり打ち出している。
軍事作戦の数時間前まで、中国政府の代表団がマドゥロ氏と会談し、「緊密な絆」を確認していたことが知られていますが、示威的な意味でも絶好のタイミングではありました。会談は天候などの影響で昨年末から延期されていたそうですが、1月3日未明というのは、明らかに代表団の訪問に合わせたタイミングでした。私が米国の統合参謀本部議長でも「ここでやりましょう」と助言したはずです。
坂口 中国がベネズエラを中南米の橋頭堡にしようとしていたという話がありますが、それはチャベス政権期の話で、今は違います。中国はベネズエラ原油の約8割を輸入していますが、それは米国の経済制裁をかいくぐってもベネズエラから輸入してくれる国が少ないという背景があります。
チャベス政権期には数十億ドルから100億ドルを超える金額を毎年のように中国は投資し、当時は“チャイナファンド”と呼ばれました。石油以外にもインフラ建設などで中国企業が進出していました。しかしマドゥロが政権について以降、中国からの投資は止まっています。
峯村 中国は、早くから一帯一路に参加したベネズエラを南米における拠点と位置付けてきました。中国式のAIカメラを使った監視システム「天網」を丸ごと輸出するなど、“実験国家”にすることを狙っていましたが、うまくいっていなかった。
※本記事の全文(約11000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(冨田浩司×坂口安紀×山下裕貴×峯村健司「緊急座談会 暴君トランプの新帝国主義」)。全文では、以下の内容をお読みいただけます。
・ギャング組織が漏らした本音
・9割超が大統領拘束を支持
・対習近平の交渉カード
出典元
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作二作全文掲載 鳥山まこと「時の家」 畠山丑雄「叫び」/忖度なき提言 高市首相の経済政策/緊急座談会 暴君トランプの新帝国主義
2026年3月号
2026年2月10日 発売
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