もりそばやざるそばで「あつもり」という食べ方がある。普通は冷たいそばだが、そばを温かくして食べるというものだ。「そばはキリッと冷たいのを食うのが粋なんだよ」と江戸っ子がいいそうだが、寒い季節、そんな江戸っ子も親しくなった街そば屋で「あつもりで!」とこっそり頼みそうなメニューである。

 そもそも、そば切り誕生の草創期、そばはせいろで蒸して食べていた。十割ではつながりにくく、お湯で茹でるとそばが切れてしまうからというのが理由だったらしい。

 その後の麺文化の発展とともに、つゆ、麺の、冷たい(ヒヤ)・温かい(アツ)の組み合わせが色々誕生してきた。讃岐うどんでは、ヒヤヒヤ、ヒヤアツ、アツヒヤ、アツアツと4種類の食べ方がそろっている。らーめんでも「つけめん」では麺ヒヤ・つゆアツが一般的であるが、あつもり(アツアツ)も注文できる店がほとんどだ。

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 そばも組み合わせはさまざま。麺アツ・つゆヒヤの「あつもり」や、麺ヒヤ・つゆアツの「つけ天そば」がある。

 ところが、東京の立ち食いそば屋で、ほとんど知られていないユニークな組み合わせの「あつもり」を提供する店が2店ほどあるのだ。

半蔵門「SOBA STAND そばうさ」の人気メニュー「バジルそば」の「あつもり」

 今やお洒落系立ち食いそば屋の代名詞といえる「SOBA STAND そばうさ」。2015年2月に創業しあっという間に人気化した店である。

まず1軒目は半蔵門「SOBA STAND そばうさ」

「そばうさ」をローマ字で書けば「SOBA"USA"」。アメリカンスタイルをこよなく愛する小島和樹さんが店主を務める同店だが、人気メニューは「バジル冷そば」という面白さ。

 土曜の昼下がりに久々に訪問してみた。店内は混んでいる。相変わらずの人気ぶりだ。

土曜日の昼下がりに訪問

 券売機をみてすぐに「あつもり」を発見した。券売機の上の部分に次のように記載されていた。

「あつもり」対応可能とあり

「そばのあつもり対応可能です。※食券受け渡し時に必ずお伝えください」

すべて「あつもり」対応可能

 つまり、すべてのメニューであつもりが可能というわけである。

「スタミナそば」、「スタミナ牛スジそば」、「バジルそば」、「スタミナ担々そば」、「海苔胡麻そば」には冷と温がある。これはつゆが冷たいか温かいかの区別で、そばは冷たいのがデフォルトだ。

「スタミナ担々冷そば」も「あつもり」できます

 それらすべてでそばを「あつもり」にできるわけである。これは面白い。