私たちの身の回りにある輸入品のほとんどは、金属製の箱「コンテナ」で運ばれてくる。1970年代、日本は、このコンテナ製造の覇権を握っていた。しかし、その地位は韓国、そして中国へと移り変わった。現在は世界シェアの99%を中国企業が握る。

 なぜ日本は競争に敗れてしまったのか。ここでは、国際物流の専門家である松田琢磨氏の著書『コンテナ海運が世界を動かす』(角川新書)より、世界経済の血管とも言える物流網の裏側に迫る。

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そもそも「コンテナ」とは何なのか

 コンテナ輸送は簡単にいえば、同じ規格の金属製の箱「コンテナ」にさまざまな荷物を積み込んで、箱単位で運ぶ輸送システムのことです。コンテナ輸送で用いられる主なコンテナは、20フィートコンテナ、40フィートコンテナ、40フィートハイキューブコンテナで、サイズは【表1】のとおりです。 

【表1】主なドライコンテナの規格(出典:平田燕奈・松田琢磨・渡部大輔[2022]『新国際物流論』/注:規格は製造者によって多少の違いがあります)

 荷主は荷物の重さと体積に合わせてコンテナの大きさを選びます。アルミのインゴット(一定の形状と大きさの塊)や穀物など、体積に対して重量が重い品目(重量勝ちの品目、と言います)を運ぶ際には20フィートコンテナが好まれます。衣類や靴、電化製品など、重さよりも体積が大きい品目(体積勝ちの品目)では40フィートコンテナやハイキューブコンテナが用いられます。S&Pグローバルレーティングの推計によると、2024年では貨物輸送に使われた20フィートコンテナは延べ5082万個、40フィートまたはハイキューブは同6421万個でした。

 一般的なドライコンテナだけでなく、温度や湿度を管理できる冷蔵冷凍コンテナ(リーファーコンテナ)や、ジュースやワインなどの輸送に用いられるタンクコンテナ、通常のドライコンテナに入れることのできない大型貨物を運ぶために使うフラットトラックコンテナなどの特殊コンテナもあります。

40フィートドライコンテナ(上)とリーファーコンテナ(下) (写真提供:ONEジャパン株式会社)
箱崎ふ頭で目にしたドライコンテナ ©文藝春秋

 リーファーコンテナは、コンテナの中で温度を維持するため、箱の中が断熱材で囲まれており、冷凍機を内蔵しています。生鮮食品や冷凍食品などの食べ物だけではなく、温度維持が必要な薬品や化学物質の輸送にも使われています。 ほかにも、リーファーコンテナに窒素ガス発生装置を取り付けたCAコンテナも青果物の輸送に使用され、鮮度を保った輸送を可能にしています。コンテナのデザインは海運会社やリース会社により異なりますが、多くの場合、リーファーコンテナは【写真1】の下の写真のように白地になっているのでわかりやすいです。