巨大なコンテナ船は、一体何を運んでいるのか。その中身を覗けば、世界経済の縮図が見えてくるかもしれない。例えばアジアから米国へ向かう船には、家具や家電、発売直後のゲーム機が満載されており、米国からアジアへ戻る船に積まれているのは、古紙や鉄くず、そして肉が積まれているという。
この違いはいったい何を意味するのか。ここでは、国際物流の専門家である松田琢磨氏の著書『コンテナ海運が世界を動かす』の一部を抜粋。コンテナが運ぶ意外な品目と、その裏にあるグローバル経済の仕組みについて紹介する。
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一体何が、どれくらい、運ばれているのか
ここまでで、コンテナ輸送の形態や航路、船舶や港湾を見てきましたが、では実際にどのようなものがコンテナに詰められて運ばれているのでしょうか。商品の単価が上がっていくとコンテナ輸送される比率が上がっていく傾向がありますが、運ばれている品目は、【写真1】にあるような花火から、食品、原材料、リサイクル品まで多種多様です。
以下では、主要なコンテナ航路である北米航路とアジア域内航路における直近の輸送品目を見ていくことにしましょう。
アジアから米国へのコンテナ貨物
どのような品目がコンテナで運ばれているのかを見るために、まずは世界でも代表的な航路である北米往航の品目別輸送量を確認してみます。
【表1】は、2022年6月に、アジアから米国に輸送されたコンテナ貨物の品目別輸送量を示しています(アジアから欧州向けの品目にも似た傾向があります)。
第1位になっているのは「家具、寝具など」で20%弱のシェアを占めています。ホームセンターなどで販売される棚やベッドから、カーテンレールのようなものが該当します。家具のように生産過程が労働集約的で、容積の大きい品目はコンテナ輸送が得意とする品目です。これらは中国やベトナムから欧米への主力輸送品目です。
第4位の「プラスチック及びその製品」にはブラインドなどが含まれており、第14位の「木材」には建築用の木材や床材、第16位の「ガラス及びその製品」には窓ガラス、第20位の「石材、セメント製品など」には庭石や壁材などが入っています。いずれも住宅を建てる際や、引っ越しやリフォームに付随して購入される品物です。そのため、これらの品目の需要や輸送動向は住宅市場の状況に大きな影響を受けるわけです。
第2位の「機械類」は工業用機械から汎用機械などさまざまな機械が含まれ、一様の動向はありません。
第3位の「繊維類及びその製品」は、主にアパレル製品のことを指しています。中国などで生産されたものはもちろんですが、バングラデシュやインドなどで生産されたファストファッション向けの製品が米国東岸の港を経由して運ばれていきます。アパレル関係の品物としては、第9位の「履物、帽子、傘、つえ、調製羽毛など」や、第12位の「皮革及び毛皮並びにこれらの製品など」も挙げられます。これらの品目は輸入国の消費動向に大きな影響を受けるものです。

