コンテナ製造はなぜ中国に集中したのか
新造コンテナの生産拠点となるための条件は、(1)人件費が低いことに加え、(2)一定規模以上の製鉄業が立地していること、(3)貨物の輸出拠点に近いことが挙げられます。二つ目の条件は、材料となる鉄鋼製品をすぐに調達できることが理由です。三つ目の条件は、製造したコンテナをすぐ輸出荷主に提供でき、調達が効率的に行えるためです。
1970年代の日本はアジア地域内で工業製品の輸出国として大きなシェアを占めていましたし、現在の中国は世界でも有数の製造業の拠点を有する、世界一のコンテナ貨物輸出国です。いずれも、製造したコンテナをすぐに納入でき、新造コンテナの生産拠点としての条件に適う地域だったということです。
現在のコンテナ製造業者は、中国招商局集団を主要株主とするCIMC(中国国際コンテナ)グループがトップシェアを占めているほか、コスコグループのSULE(上海寰宇〈ホワンユー〉物流装備有限公司)もコンテナの製造を行っています。ほかにもCXICが中国系の主要メーカーとして挙げられます。さらにデンマークの海運会社マースクの傘下にあるMCI(マースク・コンテナ・インダストリー)がドライコンテナ製造で有名な企業です。ちなみに、日本のダイキンもリーファーコンテナの冷蔵冷凍ユニットで有名です。
現在は、中国系以外の企業もコンテナ製造を中国で行うことが一般的です。直近では世界のコンテナ製造のうち、85.4%がCIMC、SULE、CXICの上位3社グループで製造されていますが、これら以外も含めると中国国内での生産は98.9%(2024年)を占めています。
ただし、中国沿海部での人件費が上昇していること、ベトナムなど東南アジアに製造業の拠点がシフトしつつあることに加え、これらの地域に製鉄業が拡大していることを踏まえると、今後新造コンテナの生産拠点も中国から一定程度シフトしていく可能性は高いでしょう。
2020年初頭に中国で新型コロナウイルスの感染が拡大して、コンテナ生産工場の稼働が停止したことが世界的なコンテナ不足からの回復を遅くしました。これを受けて、ベトナムやインド、韓国でコンテナ生産を行うことも検討されており、たとえばベトナムでは鉄鋼業大手のホアファットグループがコンテナ製造を行う工場の建設を2022年に開始し、2023年8月には製造したコンテナを初めて納品しました。2025年8月にはCMA‐CGMグループが1000本のコンテナを同社から調達しています。
