姫さんは、20代の頃にバイト先で受けた壮絶ないじめが原因で、30歳を前に髪の半分以上が真っ白になった。さらに重度のパニック障害と不安障害を発症しながらも、49歳の誕生日に“実は白髪”であることを告白し、「やっとラクになった」と笑う。

 透き通るような白さを活かしたカラーリングや、ファッショナブルなコーディネートは評判を呼び、今やSNSのフォロワー数は合計24万人だが、白髪を隠していた30代、40代をどう過ごしていたのか――。夫の「殿ちん」さんと一緒にお話を伺った。(全3回の第2回/続きを読む)

姫さん ©細田忠/文藝春秋

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「自分が弱いから病気になった」という刷り込みがあった

――パニック障害と不安障害だと診断された時、複雑な気持ちだったと。

姫さん 母が苦労人で、努力で人生を切り拓いてきたことを自負しているタイプ。学校や仕事を休むなんてとんでもない、という人でした。当時はうつや精神疾患に関する理解もまだ広まっていなかったこともあって、私の病気も“甘え”だとか、“根性がない”とものすごく言われました。「お母さんはもっと苦労したのよ」みたいな……。

 だから私にも、病気になるということは自分が弱いからだ、という刷り込みがあったのかもしれません。最初に行った精神科の病院は待合室の空気がどんよりしていて、その時点で陰鬱な気持ちがさらに暗くなる。しかも、処方された大量の薬を真面目に飲めば治ると思っていたけど、何年経っても治らない。

 そこで、カラオケ店の後に働いていた歯医者さんの先生に相談しました。紹介された心療内科へ行ったら、アットホームな空気感のなか、おばあちゃん先生がじっくり話を聞いてくれて、「そんなに生真面目じゃなくて、もっと適当でいいのよ」とあたたかい言葉をかけてくれたんです。

 それまでそういうふうに考えたことがなかったから、驚きました。頑張らなきゃいけない、頑張るのが当たり前、としか思っていなかったので、沁みました。

現在の姫さんと殿ちんさん 本人インスタグラムより

30代はとにかく“生きていた”期間だった

――30代はどのように過ごしていましたか。

姫さん 29歳で結婚して、30代はとにかく“生きていた”期間でしたね。

殿ちんさん 一日いちにち、2人きりの小さな世界を大事に過ごしていた気がします。朝起きて、ご飯を食べて、夜は一緒に楽しみにしていたドラマを見て、ああだこうだと話す。外に出られそうな時は一緒に家の前の公園で遊ぶこともありました。本当に小さな範囲で、小さな幸せで暮らしていました。