――受け入れられるようになるまでに、時間がかかりましたか。
姫さん そうですね、半年ぐらいかかったんじゃないかなと思います。その頃、福祉施設が開催したイベントのボランティアに参加したんです。そこでは、一人で電車にも乗れない自分でも、誰かの役に立てることがあると実感することができました。
皆さんから学ぶことも多く、自分の成長にもつながると思い働くことにしましたが、途中で新しく就任した施設長のパワハラがひどくて。あからさまにほかのパートさんへの対応と私への対応が違いました。雇ってもらえるだけありがたいと思っていたけど、13~4年目で辞めました。
インスタで広がった「世界」
姫さん 40代になったばかりの2013年、インスタグラムを始めたんです。モデルの梨花ちゃんがインスタを始めていて興味があったのと、ちょうど夫の出張で、1週間家に自分一人になることがわかって。そんなに長く一人になることがなかったので焦ったけど、何かしようと思ってやってみたら意外と楽しくて。
インスタはファッション誌みたいで、ワクワク感がありました。世界中の人がいろんな景色を上げていて旅行気分を味わえたし、コメントをしたら文通のようにお返事が来ることもすごく楽しかったです。
――世界が広がりましたか。
姫さん インスタのイベントに参加した時、いろんな人から被写体を頼まれたんです。元々撮られるのは好きだったので純粋に嬉しかった。それをきっかけに、行動範囲が少しずつ広がって、薬の量も減りました。ずっと小さい世界に息を潜めてきたので、自分の意思で行動できていることに、「生きている」という実感がありました。
外に踏み出してみると、私の金髪は光に透けると綺麗だと評判が良くて、少しだけ“今の自分”を肯定できる自信がつき、帽子を被らなくなりました。ベレー帽からヴィンテージもの、いろんな帽子をたくさん持っているんですけど、それまではとにかく髪を隠したかったのが、被る理由が変わりましたね。髪色も、せっかくだし色を入れて遊んじゃおうかなって、ポジティブに捉えられるようになったのもこの頃です。
――病気との向き合い方にも、変化がありましたか。
姫さん 実は無理して断薬し、その後発作を起こしてしまったことがあるんです。それ以来、今も2か月に1回ぐらい通院しています。
薬は飲まないほうがいいもの、だから早く止めたい、と思い込み過ぎていたんですよね。でも、結局発作を起こした時、無理に完治を目指さず、この病気とともに生きていくと受け入れることにしたら、楽になりました。
薬に頼りながらでも、活動範囲を広げられるならそれでいいんじゃないか。そう思ったらどんどん元気になって、今では、薬は“今日不安かもしれないから、飲んでおこうかな”という安心のための存在です。この病気は“治そう”じゃなくて、“付き合おう”というマインドが大事なのかなと思います。
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