「結果」か「プロセス」か。部下の育成においてリーダーが直面するこの普遍的な問いに、いま変化が起きている。『The Giver 人を動かす方程式』が話題の、元マイクロソフトの澤円氏が、よい褒め方と組織デザインの本質を解き明かす。

(本稿は、前掲書から一部抜粋したものです)

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“結果しか褒めない”主義のマネージャーは多いが…

 仕事の場面では、結果を重視して褒めたらいいのか、プロセスを重視して励ましを与えたらいいのか? マネージャーやリーダーが必ず悩む普遍的な問いについて考えてみましょう。

 僕が経験してきた外資系企業では多くの場合、評価制度は基本的にOKR(Objectives and Key Results)に基づいて設計されています。訳すと、「目標」(なにを達成したいのか)と「主要な成果」(なにを得たのか)となり、これが必要条件です。

 要するに、結果を出すことが不可欠であり、どれだけ頑張っていても、周囲とうまく協調できる人であっても、主要な成果が伴わなければ評価されないのがグローバル企業のベースラインです。

 これが徹底される理由は、端的にいうと、株主を納得させるために、成果(業績、株価など)が最もわかりやすい指標だからです。株主にとっては結果が出ていることが最重要であり、会社内部で行われているプロセスはさほど重視しない傾向が長年続いてきました。

 だから、結果しか褒めないという主義のマネージャーやリーダーも数多くいます。

 しかし、そうした傾向はいまや変わりつつあります。それは、Web2.0の世界があまねく広がったこと、「エシカル消費」(環境や社会に配慮した倫理的な消費行動)の考え方が台頭したことで、企業内部でなにが行われているのかという透明性が問われ、生産プロセスが倫理的かどうかが重視される流れが来ているからです。

澤円氏 撮影・杉山拓也(文藝春秋)

 つまり、結果を出すだけでなく、その生産プロセスにおいて、例えば環境破壊や搾取や社員への過度な負担などがないか、企業へ厳しいまなざしが注がれるようになっており、結果を出すためのプロセスも評価するのが近年のトレンドです。

 チームマネジメントにおいても、社員の協働のプロセスが円滑で創造的であることがリーダーの手腕として求められています。組織やチームの風通しをよくするうえでも、プロセスを褒めることは合理的なのです。