優秀な人材を奪い合う世界的なトレンド

 そして、もうひとつ忘れてならない観点は、現在すべての企業において最も重要な課題のひとつは「採用」だということです。

 これは世界的な流れであり、それこそ、米オープンAIやグーグル、メタといったハイテク企業では、スポーツ界のスター選手並みの契約金で優秀なAIエンジニアなどを採用し、人材の奪い合いは熾烈を極めています。

 となると、優秀な人材を引きつけるには、会社の業績はもとより、「自分が心地よく働けるか」「最高のパフォーマンスを出せる環境を提供してもらえるか」というプロセスの部分が、求職者の重要な判断要素になります。その内部の働き方を積極的に公開しなければ、優秀な人材の採用に結びつかなくなってきているのです。

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 冒頭の問いに戻りましょう。結果を褒めるのか、(結果が悪くても)プロセスを褒めるのか?

 これについては、どの程度の時間軸で見るかによります。

 例えば、今期は目標未達でも、来期は目標達成を見込めるプロセスを構築できたのであれば、大いに褒めてもいい状態でしょう。

 一方、複数期にわたり目標未達なのに、社内の雰囲気はよくてみんな頑張っているからと、プロセスを褒めるのは、正直違うと思います。それでは事業の継続性が見込めないからです。

 その極端な例が、2022年にイーロン・マスクによって買収されたツイッター社です。それまでのツイッターは社員の居心地は非常によい会社でしたが、業績不振のみならずセキュリティやコンプライアンスの面でもリスクが高い状態が続いていました。そこで大鉈が振るわれ大量の解雇が決行されたわけですが、営利企業である以上、シビアに結果が問われます。

 必要条件である「結果」(Result)を出すことに注力しつつ、時間軸を見極めながら、プロセスも大いに褒めていくことがリーダーに求められているということです。

モチベーションよりも「仕組み」のほうが重要

 結果やプロセスを適切な形で褒めることは、社員やチームメンバーのモチベーションを上げるのに大いに寄与します。

 ただし、ここで忘れてならないのは、企業や組織がある程度のスケールで成長していくとき、モチベーションよりも「仕組み」のほうが遥かに重要になるという点です。

 なぜなら、個々のモチベーションは、仕事への価値観や体調や環境要因などの影響を受けて、常にアップダウンするものだからです。モチベーションはいわば水物。そこに過度に依存する組織は業績が不安定です。

 たとえ社員のやる気が低迷する時期であっても、安定した結果を出し続ける仕組みを構築しておくことが重要です。ここでの仕組みとは、「人員の適正配置」や「時間の適正配分」、「適切な投資」などを指します。

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 そうした仕組みを整えたうえで、モチベーションを高めるアプローチをすれば業績はどんどん上向いていくでしょう。仕組みが整っていないのに社員をひたすら褒めて頑張らせようとしても、それはただの精神論で、正しい人の動かし方ではありません。