「気づいた時には既に手遅れ」――がんの中でも難治性がん代表として最も恐れられる膵臓がん。9割の患者が診断から5年以内に命を落とす。最大の防衛術は0期の超早期発見。老年科専門医で名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授が解説する、“最恐がん”から命を守る最新メソッド。(初出:「週刊文春 電子版」2025年12月11日配信)
膵臓がんの5年生存率は男性で10.7%、女性で10.2%
今年11月、国立がん研究センターは「がんのみが死因となる状況」を仮定した「5年純生存率」を発表した。これによると、膵臓がんの5年生存率は男性で10.7%、女性で10.2%。ステージ別にみると(23年統計)、ステージⅠの5年生存率は53.4%、Ⅱが22.6%、Ⅲは6.2%、ステージⅣでは1.6%まで下がってしまう。
「5年生存率とは、がんと判明してから5年生きられる人の割合です。罹患者が最も多い大腸がんでは、5年生存率が70%台で推移しているのと比べれば、膵臓がんの危険性は一目瞭然です」(下方教授、以下同)
生存率の低さは、自覚症状がないこと、腫瘍が見つけにくいことに起因する。
「初期の膵臓がんでは自覚症状はほとんどありません。また、胃の陰に位置し、肝臓や十二指腸など多くの臓器に囲まれているため、健康診断のオプション検査にある腹部X線検査や胃部X線検査ではまず判別できない。黄疸や腹痛、腰や背中の痛みなど、自覚症状が出たときには、既にがん細胞が周囲に浸潤している可能性が高い」
ただし、諦めるのはまだ早い。
「医療の進歩により、近年は膵臓がんの早期発見が可能となりました」
日本膵臓学会の「膵癌診療ガイドライン」(22年)によれば、膵臓がんの腫瘍が大きさ1センチ未満(0期)で見つかった場合、5年生存率が80%となる。
