2017年、ロシアの路上で拾われた一台のスマホ。その中に保存されていたのは、切断された頭部や楽しげに人肉を口にする男の写真だった。

冷蔵庫になぜ人肉が…? 写真はイメージ ©getty

 持ち主は何者なのか。捜査の末に浮かび上がったのは、想像を超える夫婦の狂気と、街に溶け込んでいた凶悪な日常だった。事件発覚後に明らかになった「人喰い夫婦」の実態を、文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)のダイジェストよりお届けする。

常に異臭が漂っていた「殺人カップルの部屋」

 事件の発端は偶然だった。2017年9月11日、ロシア南部の都市クラスノダールで道路舗装をしていた作業員が、路上で落とし物と思われるスマートフォンを発見。所有者の手がかりを探そうと中を確認した作業員は驚愕した。アルバムのフォルダーに、切断された人間の頭部や、手首を楽しそうに口にくわえる男の姿など、おびただしい数のグロテスクな写真が収められていたからだ。

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 さらに驚くべきことに、作業員が仲間を呼んで警察に通報しようとしたとき、犬を連れた一人の男が近づいてきた。「この辺りでスマホの落とし物を見なかったか?」と尋ねる男こそ、写真に映っていた人物だったのだ。

 同日逮捕されたのは、ドミトリー・バクシェーエフ(当時35歳)と妻のナタリア(同42歳)。2人はナタリアが勤務する士官学校の寮で同居しており、彼らの部屋からは常に異臭が漂っていた。学校スタッフが中を確認しようとすると、ナタリアは血相を変えて門前払いにしたばかりか、学校の生徒にも人肉を混ぜた食事を出していたという。