日本女性の社会進出とともに右肩上がりに急増している子宮体がん。閉経後に罹患ピークを迎え、初期症状に気づかず放置する人も少なくない。早期発見法から生活習慣まで、子宮を守る6つの予防法を老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授が解説する。(初出:「週刊文春 電子版」2025年11月27日号配信)
若年層の女性に有効な対策
はじめに、閉経後の女性が子宮体がんに罹る理由について解説しよう。
「子宮体がんの発生には、生涯のうち女性ホルモンのエストロゲンにいかに多く晒されたかが関係します。エストロゲンは、排卵の度に妊娠・出産に備えて子宮内膜の細胞分裂を促し分厚くするホルモンです。他方、子宮内膜の増殖を止めるプロゲステロンは、排卵や妊娠、授乳時に分泌され、バランスを保っている。そのため、初経が早かった女性や月経不順のある女性、妊娠・出産経験の少ない女性では、発症リスクが上昇します。また、閉経後もプロゲステロンが減少するため、エストロゲンの過剰分泌で分厚くなった子宮内膜でがん細胞が増殖してしまうのです」(下方教授、以下同)
国立がん研究センターも参加した国際共同研究(23年)では、アジアの研究者らと約33万のアジア人を約16年間追跡調査した。その結果、初経年齢が13歳未満のグループと比較して、初経年齢が17歳以上だったグループは子宮体がんの発症リスクが40%減少。さらに、閉経年齢が45歳未満のグループと比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは子宮体がんの発症リスクが2.8倍だったという。
女性ホルモンと切り離せない子宮体がん。(1)若年層の女性に有効な対策が、低用量ピルの服用である。
「80%の女性にピル使用経験があるといわれる欧米の研究では、ピルの服用により子宮体がんの発症リスクは有意に低下すると指摘されています。服用期間が長期に及ぶほど効果が高まるとされ、英国の研究では、ピルを5年服用するごとに子宮体がんのリスクは24%ずつ減少すると指摘されています」
ピルに含まれるプロゲステロンがエストロゲンの働きを抑えるためだ。ただし、閉経前に駆け込みでピルを飲むのは要注意だ。
「加齢により血栓ができやすくなるため、45歳以降に新たにピルを飲み始めることは推奨されていません。子宮内膜の増殖抑制効果のある黄体ホルモン製剤の処方など、産婦人科で相談しましょう」
子宮体がんの早期発見に欠かせないのが、(2)初期症状を放置せず、すぐに診察を受けることだ。
《この続きでは、●閉経後の不正出血は即受診を ●女性ホルモン過剰分泌への対処法 などのトピックを取り上げている。記事の全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる。また、本連載をまとめた書籍『90歳まで健康長寿』も好評発売中》


