健康診断のシーズンを迎え、結果に一喜一憂している人も多いはず。年間3万人を診察する総合診療医の伊藤大介さんは、「健康診断こそが深刻な病気の『芽』を摘むことができる唯一の方法です」と強調する。
そんな伊藤さんの著書『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』には、健康診断の受け方を180度変える目からウロコの活用術が満載。
本の中では健康診断を受けるうえで、ぜひ知っておいてほしい「3大原則」を紹介しており、今回は二つ目の原則「検査項目を『レベル』と『スピード』に分ける」についての解説部分を掲載する。
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【原則2】検査項目を「レベル」と「スピード」に分ける
健康診断の検査は「レベル」と「スピード」の項目に大きく分けることができます。
「レベル」は、「これまでの生活で体内にどのくらいのダメージが蓄積しているか。病気のリスクがどのくらい進行しているか」を意味します。
一方の「スピード」とは、「将来的にどのくらいの速さで体調が悪化したり、病気を発症したりするか」を意味しています。
仮に健康な体を「スタート」として、心筋梗塞や脳卒中、がんなど深刻な病気の発症を「ゴール」としましょう(なるべく近づきたくないゴールですが……)。下の図表(2)のように日々の経過時間を横軸、病気を発症するまでのレベルを縦軸にするとします。
図表(2) 病気の「レベル」
BさんとCさんが健康診断を受けた結果、Bさんの方が検査の数値が悪かったとしましょう。その場合、Bさんの方が「レベル」が高く、ダメージが蓄積しているので、病気の発症により近づいていることになります。一方のCさんは、病気の発症までにまだ余裕があるので、「レベル」が低いということです。
「眼底検査」は動脈硬化の進行を測っている
具体的な例で言うと、腎機能を表す「クレアチニン」の数値は、健康診断の血液検査で分かりますが、これは過去、腎臓にどのくらいのダメージが蓄積したかを表しています。いわば慢性腎不全を発症するまでの「レベル」を測ることが一つの目的です。これまでに失った腎機能を回復させることはかなり難しい。一度、進行したら元に戻すことができないのも「レベル」の項目の特徴です。
「眼底検査」も「レベル」を測る検査項目です。
眼底検査は、緑内障や網膜剥離などの目の病気に加えて、実は、糖尿病による網膜症や眼の血管の動脈硬化のレベルを調べています。動脈硬化とは血管内にコレステロールやカルシウムが蓄積して、血管が硬くなることです。つまり血管にどのくらいダメージが蓄積して、動脈硬化が進行しているかを測っているのです。
一度硬くなってしまった血管は元に戻すことができません。目の血流が悪くなれば、最悪の場合は失明してしまうので、それを防ぐためにも「眼底検査」では、動脈硬化の「レベル」を測っているのです。

