健康診断のシーズンを迎え、結果に一喜一憂している人も多いはず。年間3万人を診察する総合診療医の伊藤大介さんは、「健康診断こそが深刻な病気の『芽』を摘むことができる唯一の方法です」と強調する。

 そんな伊藤さんの著書『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』には、健康診断の受け方を180度変える目からウロコの活用術が満載。

 今回は健康診断を受けるうえで、ぜひ知っておいてほしい「3大原則」を紹介する。まずは一つ目の原則、「『ピラミッド』のようにして考える」とは一体どういうことなのか⁉

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最大の目的は「命にかかわる病気」を見つけること

 そもそも、健康診断は、何のために受けるのでしょうか?

 もちろん、生活習慣病を早めに見つけて改善することが目的の一つです。ですが、健康診断の最大の目的は、脳卒中やがんなど「命にかかわる病気」を、症状が出る前の段階で見つけて治療することにあります。

 症状はまだ出ていないけど、体の中では少しずつ異変が起きている状態──これを「未病」と呼びます。高血圧や脂質異常症、高尿酸血症、脂肪肝なども、いわば未病です。未病をきちんと見つけることができれば、脳卒中やがんなどの深刻な病気を発症する前に手を打つことができます。

 では、そのためにどうすればいいのか? 一番効率的な方法が「厳選されたスクリーニング検査」を受けること。これこそが健康診断なのです。

 今回は、私が「ぜひ知ってほしい!」と感じた、健康診断の「3大原則」をお伝えします。これは本書を読み進めるうえで肝となる部分であり、私が日々、大勢の患者さんと向き合う中で見つけた、健康診断をまったく新しい視点から見るためのポイントでもあります。是非、参考にしていただきたいです。

伊藤大介医師 ©文藝春秋

【原則1】「ピラミッド」のようにして考える

 1つ目の原則は、健康診断の結果を「ピラミッド」のようにして考えることです。当然ながら、医師はすべての病気を同じように扱うのではなく、深刻さの度合いによって、序列をつけて扱っています。

 例えば、血管の病気だけに絞ってピラミッドを作ると、図表(1)のようになります。

図表(1) 健康診断のピラミッド

 

 下から順番に見てください。「血圧」「血糖値」「コレステロール」など、「第1段階」には健康診断の基本的な検査項目が並び、それらを放置して悪化させることで、どんどん深刻な段階になり、最終的には「第4段階」にまで上がっていくという構図です。第4段階には「肝硬変」「人工透析」「心不全」など深刻な病気や末期的な症状が並んでいます。

 健康診断とは、このピラミッドの段階が上がっていかないように、第1段階でしっかり病気の芽を摘み、対処するために作られているのです。

 たった1回、血圧やコレステロールの数値が多少悪かっただけで、目くじらを立てる医師はいません。まだいくらでも改善できるからです。ただ、もし、そのまま長期間にわたり放置して、高い数値が続けば、当然「第2段階」に上がってしまいます。

 第2段階では「肝機能の低下」や「眼底の異常」など、実際に臓器に影響が及び、症状が出始めます。ただ、この段階では、まだ「未病」に留まるので、生活習慣を見直せば、多くの場合は改善することができます(一部は要注意の疾患もあるので、医療機関の受診は必要です)。

「第3段階」では、深刻な病気を発症しています。「狭心症」や「脳卒中」など自覚症状があるものから、「慢性肝炎」や「慢性腎臓病」など、自覚症状のないものまで様々です。生活習慣の改善はもちろんのこと、投薬治療など、医療的な介入が必要な深刻なものばかりです。

 ただ、たとえ第3段階まで上がったとしても、積極的に治療に取り組めば、手術や入院などを回避することができ、後遺症も残さずに済む可能性があります。

 しかし、「第4段階」に到達してしまうと、いよいよ事態は深刻です。緊急手術や長期入院、集中治療などの高度医療を施す必要性が確実に出てきます。

画像はイメージです ©Anmitsu_hime01/イメージマート