「地震は大金を得るチャンス」

 震災時、崩れた家屋から家電やタイヤを持ち去る者たちがいる。能登、熊本、東日本……。大災害の陰で繰り返されてきた“火事場泥棒”と便乗詐欺の実態とは何か?

 震災後の街で何が起きていたのかを、ノンフィクション作家で社会学者の廣末登氏の新刊『ヤクザが消えた裏社会』(筑摩書房)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

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能登半島地震の際に、被害を受けたと見られる珠洲市の住宅 ©getty

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地震大国・日本

 日本は大きな地震が絶えません。たとえば阪神淡路大震災(1995年1月17日)、新潟県中越沖地震(2007年7月16日)、東日本大震災(2011年3月11日)、熊本地震(2016年4月14日)、能登半島地震(2024年1月1日)などは大きな地震として印象に残っている人が多いかもしれません。

 中でも、阪神淡路大震災は、戦後はじめて都市が大規模に崩壊する地震でした。たまたま関西に出張した折に、筆者が見た家屋倒壊の光景は、目に焼き付いて離れません。

『防災白書平成7年版』「阪神・淡路大震災について(確定報)」(消防(2006))によると、「この地震は、内陸で発生した、いわゆる直下型地震である。破壊した断層付近で非常に大きな揺れを生じ、神戸市を中心とした阪神地域および淡路島北部で甚大な被害を受けた」とあります。

 2006年の確定報で死者6434名、行方不明者3名、負傷者43792名と報告されているように深刻な被害状況でした。住家については、約10万棟以上が全壊、半壊は14万棟以上。埠頭の沈下、山陽新幹線の高架橋等の倒壊・落橋、阪神高速道路等の27路線36区間について通行止めになるなど交通設備にも甚大な被害が発生しました。当然、水道、下水、ガス、電気などのライフラインにも大きな障害が発生しました。震災で荒廃した都市の惨状が目に浮かびます。

 さらに震災と聞いて心配になるのがどさくさ紛れの火事場泥棒や各種犯罪です。