そんな党大会のフィナーレを飾ったのが、25日夜に平壌・金日成広場で開かれた軍事パレードだった。朝鮮中央テレビが26日に公開した映像をみると、金正恩氏は主席壇の裏側から入場する従来の登場形式を変更。いきなり、パレードが行われる広場にリムジンを乗り付け、集まった市民の前に姿を現した。市民の自分に対する関心が薄れていることを意識し、目線を低くして市民に近づこうとしたようだ。
そして、リムジンから金正恩氏とおそろいの黒のレザーコート姿で現れたのが、西側メディアが「キム・ジュエ」と呼ぶ娘だった。妻の李雪主氏はレザーコート姿ではなかった。移動の際も、金正恩氏の次にキム・ジュエ氏が続き、李雪主氏は最後に続いた。「一家おそろいでのお出かけ」ではなく、「最高指導者と後継者」という構図を作りたかったからだとみられる。
最高指導者抜き…“ある人物”を中心にした「空前絶後の写真」
また、朝鮮中央通信は26日、軍事パレードの記事につく64枚の写真を配信した。そのなかに、驚くべき構図の写真が1枚含まれていた。
椅子に座ってパレードを見物するキム・ジュエ氏を中心に置き、左側に李雪主、右側に党幹部2人が写った写真だ。最高指導者が参加する1号行事の写真で、個別に人物を写す場合、必ず最高指導者を中心に置く。ましてや、最高指導者抜きの人物写真などあり得ない。空前絶後の構図だ。
ジュエ氏は推定年齢13歳。党員資格が生まれる18歳に満たず、当然のことながら党大会には呼ばれなかった。党員でなければ、政府や軍を指導できない。公職にも就けない。ジュエ氏の祖父、金正日総書記が党組織指導部長の要職に就いたのは28歳のときだった。ジュエ氏が公職に就き、部下を従えてそれなりの権力を握るまで、少なくとも、あと10年はかかるだろう。公職に就いていない以上、後継者としての指名はできない。その代わり、なるべく存在感を際立たせて、幹部や一般市民に「次はジュエ氏」という潜在意識を刷り込みたいという意図が、ジュエ氏を中心にした写真からうかがえる。
朝鮮中央通信は28日にも、前日に金正恩氏も参加した新型狙撃銃の試射会で、銃を扱っているキム・ジュエ氏が一人だけ写っている写真を配信した。
では、これらの写真を選んだのは誰か。

