エプスタインの少女たちへの性的虐待はマクスウェルが少女のリクルートを始めてから加速したように見える。しかし今、エプスタイン・ファイルから「無くなった」とされる文書は、1980年代に当時13歳の少女がエプスタインとトランプから性的暴行を受けたという内容だ。この時期、エプスタインは「生涯の恋人」エヴァ・アンダーソンと付き合っていた。

ジェフリー・エプスタイン(右)と、エプスタインによる性的人身売買をアシストしていたギレーヌ・マクスウェル(左) ©getty_Davidoff Studios Photography

1億ドルの遺産が渡る「最後のガールフレンド」

 エプスタイン・ファイルには、エプスタインの遺書とも言える「1953信託」が含まれている。

黒塗りにされた「エプスタイン・ファイル」と、ジェフリー・エプスタイン元被告 ©EPA=時事

 エプスタインは2019年7月に2度目の逮捕をされ、約1カ月後に留置所の中で死亡した。死因は自殺とされている。死のわずか2日前、エプスタインは遺書を書き換えていた。

ADVERTISEMENT

「1953信託」では当時、総額6億3000万ドルと評価されていた資産のうち、1億ドルを当時の恋人、カリーナ・シュリアックに残すとしている。加えて33カラットのダイアモンドの指輪を贈り、マンハッタンの邸宅、パリのアパート、ニューメキシコの牧場、米領バージン諸島の2つの私有島もシュリアックに相続させるとある(フロリダ州パームビーチの邸宅は2021年に解体)。

 信託には約40名の相続人の名があり、その中で最大の額を受け取る遺産相続人となっているのがシュリアックだ。続いてエプスタインの個人弁護士に5000万ドル、個人会計士に2500万ドル。マクスウェルには1000万ドル、エプスタインの弟、マーク・エプスタインにも1000万ドルとなっている。

エプスタインのコネで大学に入学

 エプスタインとシュリアックがどのように知り合ったかは不明だが、エプスタインはシュリアックをコロンビア大学に入学させている。2012年、ベラルーシ国立医科大学で学んでいたベラルーシ国籍のシュリアック(当時22歳)はニューヨークにあるコロンビア大学の歯学部に入学申請をしたが、不合格になった。それを知ったエプスタインは自身のコネクションを使い、かつ多額の寄付金をコロンビア大学に納め、シュリアックを入学させている。高額な学費もエプスタインが支払っている。

 後年、寄付金を受け取ったことにより歯学部の学長など6名がコロンビア大から解雇されているが、シュリアックは卒業し、歯科医の資格を得ている。

 シュリアックは現在36歳とされており、エプスタインが死亡した2019年には29歳だったことになる。エプスタインはシュリアックに結婚を前提に33カラットのダイヤの指輪を贈り、死の前夜、留置所からの電話で最後に会話した相手もシュリアックだったと伝えられている。

シュリアックがエプスタインに送ったとされるメール(米司法省が公開している「エプスタイン・ライブラリー」より)

 なお、遺産の評価額は死亡時の6億3000万ドルから今ではかなり下がっており、かつエプスタインへの訴訟や債権者との交渉が続いている。シュリアックを含む全相続人は、全てが片付くまで遺産を受け取れない。