エプスタインの最後の恋人、カリーナ・シュリアックがエプスタインの手配によってコロンビア大学に入学したのは2012年。エプスタインが最初の逮捕をされ、形式だけだったとはいえ、18カ月の懲役刑を終えた後だった。エプスタインは出所後も少女や女性たちへの性的虐待を続けていた。シュリアックはそれをどう考えていたのだろうか。
関係者たちにモラルはあったのか?
1月30日に公開された300万点を超える文書のうち、メディアが検証を終えたのは、わずか2~3%とも言われている。今後、何年間も次々と新たな事実が公表されていくだろう。それに伴い、社会的な地位を失う有力者の数も増えるのだろう。
未成年や女性への性的虐待は言うまでもなく、情報漏えいや不正な金銭の授受も違法行為であり、さらなる逮捕者も出るだろう。一方、違法行為は行なっておらず、しかしエプスタインの2008年の初回の逮捕以後もなんらかの形でエプスタインとの関わりを続けた者たちは、そのモラルが問われる。
そういった者たちに、そもそもモラルはあったのだろうか。エプスタインは確かに“モンスター”だったが、モンスターと知っていながら人脈と資金を求めて寄生した者たちもまたモンスターなのだ。
著名人たちが辞任する理由とは
英語には「bad apple」(傷んだリンゴ)というフレーズがある。昔、リンゴは樽に入れて保存されていた。どの樽にも大抵1個は傷んだリンゴがあり、それが周囲のリンゴをも腐らせる。そこから職場、学校、家族など、どんな場にも一人は風紀を乱すものがいることを指す。しかし、bad appleは往々にして、悪いのはその一人だけであり、その人物さえ取り除けば、まともな環境に戻るとする詭弁として使われる。つまり「運悪く」見つかった者だけを追放し、場の安泰を図るのである。
今、多くの有力者が辞任を強いられているのは、その力学ゆえではないだろうか。エプスタイン・ファイルによって腐食が露見した者より、さらに腐食している大物が、自身の腐食を社会から隠すためではないだろうか。(文中敬称略)
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。
