6歳でミャンマーから来日し、日本で育ったティンダン監督。日本映画学校(現・日本映画大学)で学び、卒業制作の『エイン』は映画祭などで高く評価された。そして自主制作で『めぐる』を撮り終えた後の2021年4月、クーデター後のミャンマーで市民デモを取材中に拘束され、そのまま約2年にわたり刑務所に収容されていた。『エイン』と『めぐる』の同時公開を控えたティンダン監督にインタビューした。
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茨城の図書館と『スタンド・バイ・ミー』
ティンダン監督と映画の出会いは、茨城県の静かな田舎町にあった。
「茨城県の、電車も通っていないような市で育ちました。家も裕福ではなかったので、図書館で無料のビデオを借りて観るのが唯一の娯楽だったんです。そこで『スタンド・バイ・ミー』などの作品に感銘を受けたのが、映画の道を志したきっかけですね。最初は役者を目指して子役をやっていた時期もありましたが、次第に自分の手で演出をしたいという気持ちが強くなり、日本映画学校へ進学しました」
今村昌平氏が創設した同校で、天願大介監督のゼミに所属。今回公開される『エイン』は、21歳の時に制作した卒業制作作品だが、当初は違う題材を扱おうとしていたという。
「最初は1988年のミャンマーのクーデターを題材に脚本を書いたのですが、天願先生に『これは危険だし、面白くない』と一蹴されてしまって(笑)。締め切り間近で諦めかけていた時、ダメ元で自分の好きな作品の雰囲気で、自分の実体験を反映させて書いたのが『エイン』でした。その脚本が認められて、その年の卒業制作として撮影する5本のうちの1本に選ばれたんです」

