大河ドラマ『豊臣兄弟!』。3月8日の放送回では、敵方の家臣である竹中半兵衛にフォーカス。兄弟は斎藤龍興(たつおき)を窮地に陥らせるべく、半兵衛の調略に奔走するのだった。

 一方、家臣に見捨てられた龍興は、稲葉山城を離れて敗走を重ねることになるが……。古城探訪家の今泉慎一氏が、ドラマゆかりの古城の“いま”を訪ねた。

駐車場から北東。祐向山城は右のピーク奥に隠れていて見えない 写真=今泉慎一

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半兵衛にしてやられた斎藤龍興はどこへ?

 ついに『豊臣兄弟!』にも竹中半兵衛が登場した。菅田将暉演じる半兵衛は、黒田官兵衛とともに「両兵衛」とも称され、豊臣兄弟が出世街道を駆け上がる両輪となったキレ者軍師だ。

菅田将暉が演じるキレ者軍師(ドラマ公式Instagramより)

 そのずば抜けた軍略の才能が最初に注目されたのは、まだ斎藤家に仕えていた頃のこと。酒色に溺れる主君の斎藤龍興に業を煮やし、1564(永禄7)年2月、安藤守就と共にわずかな兵力で、あっという間に斎藤家の本城・稲葉山城を占領してしまう。このあまりに見事な攻城戦が、当時まだハタチそこそこだった半兵衛の名を一躍知らしめたのは想像に難くない。

 では、自身の城を追われた龍興はどこへ行ったのかというと、10数kmほど北東にある祐向山城(いこやまじょう)に避難していたのだった。

斎藤龍興は臣下に見捨てられる(ドラマ公式Instagramより)

谷間をグルリと囲む「文殊の五城」

 祐向山城の名を知っているのは、よほどの城マニアだけだろう。「古城探訪家」の看板を掲げる筆者も、恥ずかしながら訪問直前まで認知していなかった。その山城は、岐阜県本巣市の一角、濃尾平野の北の縁にある。

 起点となるのは「文殊の森」というキャンプ場兼野外公園。森は谷間にあり、それを見下ろす尾根の上に祐向山城はある。

 尾根は谷間を取り囲むようにU字型にぐるりと伸びているのだが、より正確にいうと、祐向山城は尾根のやや奥まった位置。その他にも複数の山城が点在している。

現地案内板。中央の「目刈古墳群」の北一帯が文殊の森。祐向山城は右上端

 案内板を見ると、五つの城があることがわかる。西から、中の城、山口城、法林寺城、祐向山城、掛洞城(かけぼらじょう)。本城が祐向山城、他の四つの城が支城群で、一体となって防衛する戦略で築かれたのだろう。名付けるなら「文殊の五城」といったところか。

 時刻は午前10時過ぎ。ちょうど登山道で繋がっているようなので、時計回りにぐるりと巡ってみることにした。

 その前に文殊の森の駐車場から写真を撮るが、広角でもとても一枚には収まらない。

駐車場からほぼ真北。中央のピークが法林寺城
駐車場から北西に目をやると山口城が見える

 日没まで半日。全城攻略できるだろうか。