最後の一城を攻め落とす

 祐向山城から掛洞城までは近く、おそらく中の城から山口城と同じくらい。時刻は14時半。残り一城を攻め落とせば、あとは下るだけだ。余裕綽々でさらに山道を進む。

(再掲)現地案内板
切岸直下にうっすらと堀切もみられる

 案の定、15分ほどで見事な切岸に出くわした。

 ついに最後の城、掛洞城だ。高さは祐向山城と同じぐらいだが、角度はこちらのほうが急。だが、つづら折れの登りはロープも張られており、わけなく上り詰めることができた。

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 文殊の五城は全体的に土塁の少ない城だが、掛洞城だけは例外的に曲輪の周囲が土塁になっているのが面白い。

縦に長い曲輪の片側に質実剛健な土塁
曲輪間の堀切からは見事な竪堀も落ちている

 切岸、土塁、堀切、竪堀と技巧的で、城域も五城で最も広い。主郭の東側を守る二重の堀切も圧巻だった。

 複数の山城をハシゴし、最後にこんな見応えのある城に出会えて最高の気分。

二重堀切を下から見上げる

想定外のオマケ遺構。悠々と帰還のはずが…

 掛洞城を攻略した時点で、時刻は15時半。日没まではあと1時間半あり、下山には十二分。複数あるルートのうち、掛洞城から南へ伸びる尾根を下ることに決める。

 するとすぐに堀切が現れた。まるでボーナストラックのように。

左端は削り残されたような形状
堀切から西側のみ竪堀が落ちている

 掛洞城の城域はまだ先まで続いているのか? と思いながら進むと、今度はさらに巨大な堀切。

この堀切は両端までしっかり削ってある

 新たなるボーナストラックに興奮。しかし、それがまずかったのか。しばらく進んでみても、駐車場のある谷間へと降りる道が見つからない。

 尾根道は目印のピンクリボンもあって迷いようがないし、地図にははっきり下山路の破線が描かれているのだが……。

 気がつけば16時を過ぎている。日が暮れてしまうと遭難しかねない。結局、諦めて長い道のりを引き返すことを決意。

 距離もさることながら、同じ道を戻るのは精神的にもダメージが大きい。さっきまでの最高の気分が一転。へこむ心と焦る気持ちを抱えながら法林寺城まで引き返し、最もわかりやすい道を下る。下山したときには、すっかり暗くなっていた。

写真=今泉慎一

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