子どもに対する性教育での「タブー」とは?
――被害を受けたのが幼い子どもだったケースは別として、裁判をするかどうかは子どもの意思が尊重されるのですか?
飛田 未成年者が警察の捜査を受ける場合、基本的には保護者の同意が必要になります。そこがまさに大きな問題で、保護者が混乱して対応が遅れてしまうと、気持ちが落ち着いた頃には手遅れになることも多いんです。
家庭内性被害の場合、子どもが被害届を出したいと希望しても保護者が反対することもあります。私たちが保護者を説得することもありますが、日本は親権が強すぎて難しいのが現状です。
そもそも、今の日本の法制度では、証拠がないと子どもがただ傷ついて終わってしまうことが多いんです。子どもや周囲の大人が声を上げたときにベストな対応がされる世の中に変わっていかなければ、「裁判をしよう」と思えないですよね。現在の仕組みは、間違っていると思います。
――とはいえ心にダメージを負うのは、保護者も同様で判断能力が落ちているケースもありそうです。
飛田 そうですね。加害者が身内や信頼していた人だったりするときは、特にショックも大きいと思います。保護者が落ち込み、涙する姿を子どもが目にするのは悪影響になるため、支援センターを紹介することもあります。
――特に多いとされる、家庭内での性加害/被害を未然に防ぐために、保護者ができることは何でしょうか?
飛田 お子さんが年長ぐらいになって一定の物事を理解できるようになったら、性被害の予防教育を実践するのが良いと思います。誰かが体に触ろうとしたときは、「キャー」「助けて」と大きな声を出したり、全力で走って逃げたりするんだよと伝え、実際に練習をする。繰り返し何度も行うといいですね。
「知らない人に付いていったらダメだよ」と教えることも多いと思いますが、性被害は見知った人からも起こるため、「知っている人でも体を触るのはいけないことなんだ」と教えてあげなければなりません。日本では、「性の話はタブーである」として家庭内でも避ける傾向がありますが、それが性被害の発見を遅らせてしまいます。何かおかしいと思ったら、すぐ保護者に伝えられるような環境がベストです。
「保護者が加害をしないこと」も非常に重要です。お子さんの局部を触ったり、形やサイズに言及したり、写真を撮ったりするのは、いずれもNGです。第三者にそれをされた時に「性加害」だと気付けなくなるためです。