『ウィキッド 永遠の約束』

 正直を言えば、この前作はあまり好きではなかった。設定にしても展開にしても、ポリティカル・コレクトネスのメッセージ性が強すぎたからだ。その要素自体は否定するものではないし、欠かせないとは思う。が、あまりにそれが前面に出過ぎると、説教を受けている気になってエンターテインメントとして楽しめなくなる。前作は、筆者にとってまさにそうだった。
 
 それだけに、その後編たる本作も決して乗り気で観たわけではない。が、良い意味で事前の予想を裏切ってくれた。もちろん前作からのメッセージ性が消えたわけではない。が、それが後景化している。そして、引き裂かれた二人の女性の葛藤のドラマが見事なまでに前面に出ているのだ。

『ウィキッド 永遠の約束』

 片や「オズ」の欺瞞に気づいて反体制的なゲリラ活動を展開し、「魔女」として大衆から忌み嫌われる。片や、体制側から新たなアイコンとして祭り上げられ、大衆からは慕われる。何から何まで対極的な立場となった二人は、心の底では固い友情を抱きつつも闘わざるをえない状況に。そして、双方の闘いはかつての魔法学校の学友たちをも悲劇に巻き込んでいく。

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 全体を通してかなりハードな展開になっており、前作のような煌びやかな魔法の世界というのはほとんど登場しない。何より素晴らしいのは、その結末だ。「あれだけ人に迷惑をかけておいて、自分たちだけハッピーエンドor悲劇の人物気取りかよ――」みたいな終わり方が、近年のハリウッド映画は少なくない。が、本作はそうではないのだ。二人とも、これまでの行ないの報いともいえる十字架を背負わされる形で、物語は終焉を迎える。そこには甘ったるいハッピーエンドも、上辺だけのお涙頂戴もない。課された運命に背を向けることなく、正面から受け止めて前を向いて生きていく。その姿が実に潔く、また美しく、心を熱くさせてくれた。
 
 それから、今回は『オズの魔法使い』が終盤でかなりストレートに絡んでくる。主人公が魔女で舞台がオズならば、主人公の最大の敵は「あいつ」になる。その登場のさせ方や絡み方、映し方、そして決着。どれも「お、そう来るか!」という面白さにあふれており、その点でもかなり楽しむことができた。

『ウィキッド 永遠の約束』
監督:ジョン・M・チュウ/出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、マリッサ・ボーディ、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラム/2025年/アメリカ/137分/配給:東宝東和/© Universal Studios. All Rights Reserved./公開中