「韓国戦の先発のコ・ヨンピョ投手は角度のある力強いボールを投げていましたが、まさかそのピッチャーからホームランだけで4点取るとは……と驚きました」

 侍ジャパンがWBCプールC1位通過を決めたオーストラリア戦の試合後、元DeNAベイスターズ投手、三嶋一輝はこう話した。今年引退を発表し、いわば最も「現役に近いOB」である三嶋。台湾戦、韓国戦、オーストラリア戦で印象に残ったシーンを聞くと、真っ先に出てきたのが「韓国戦での鈴木誠也選手の右中間へのホームラン」だった。

鈴木誠也 ©文藝春秋

「鈴木選手には引っ張ってのセンターへのあたりのイメージがありました。でも韓国戦での2ランは強引に引っ張らなかった。本人の中ではもしかしたら長打ではなく『逆方向への強い打球』という意識だったのかもしれませんが。でもあそこできっちりスタンドに運ぶパワーと技術。ボールがよく見えてるんだろうなと思いました」

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大谷、鈴木、吉田…「打つべき人が打っていた」1次ラウンド

 しかし三嶋はあの日の2本のホームランと同じくらい、同点で迎えた7回、満塁の場面でまわってきた鈴木誠也選手が押し出しの四球を選んだことが鮮烈だったという。それはメジャーリーガー、鈴木誠也の“進化”。

「押し出しの時に小さなガッツポーズしたじゃないですか。僕も彼とは何度も対戦してますけど、打ち損じた時、本当に悔しがる。ピッチャーにまでその声が聞こえるくらい悔しがるんですよ。そんな熱い選手があの満塁の場面で、しっかりボールを見て……2本ホームランを打った後なのに落ち着いてました。

 あそこで打ったら3本目になるわけですけど、でもチームの状況を踏まえ、相手ピッチャーが制球に苦しんでるのもちゃんと見抜いていた。前のバッターも四球で出てるので、ファーストストライクの甘い球を思いっきり振っていってもいい場面だったし、僕も一球くらいいくかなと思って見てたんですけど、そこはしっかりチームのために冷静な判断。あれは素晴らしい四球だったと思います」

3試合を終えて打率5割超にホームラン2本という圧倒的な存在感を放っている大谷翔平 ©文藝春秋

 鈴木誠也はもちろん、大谷翔平、吉田正尚……メジャー組の活躍が特に光った1次ラウンドの3戦。三嶋も曰く「打つべき人が打っていた」。一方で調子が上がらず苦しんでいる印象のNPB組。メジャーリーガーとNPB在籍の選手をわけているものはなんなのかと尋ねると「大きな違いはないと思いますけどね」と少し考えてからこう続けた。