WBC2026日本代表には、何人ものメジャーリーガーが参加している。その1人が、コロラド・ロッキーズの菅野智之だ。2017年大会以来、2大会ぶりの選出となる中で活躍が期待される菅野の凄みを、読売ジャイアンツ時代の愛弟子ともいえる戸郷翔征の著書『覚悟』(講談社)から一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む

巨人時代の菅野をよく知る、愛弟子・戸郷が当時を振り返る ©文藝春秋

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「俺とキャッチボールをやりたいか?」

 2020年8月4日、ジャイアンツ球場で初めて菅野智之投手とキャッチボールをさせてもらいました。菅野さんは僕に茶目っ気たっぷりに語り掛けてくれました。

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「俺とキャッチボールをやりたいか?」

「はい、お願いします!」

 僕はボールケースまで一目散に走って行き、きれいなボールを探し、菅野さんに渡しました。僕からしたら「巨人のエース、日本のエース・菅野智之」という11歳上のピッチャーは、雲の上の存在でした。

高卒2年目の戸郷にも、菅野は気さくに声をかけてきた ©文藝春秋

 キャッチボールとはただ単にボールを投げ、捕るだけではないと思うのです。親子、きょうだい、チームメイト、もっと言えば見知らぬ人同士でも、「白球を介して、心を通じさせるもの」だと思っています。だから、尊敬する菅野さんとキャッチボールをしたら、「肌で感じるもの」「何か得られるもの」が必ずあると思っていたので、夢のような時間でした。

 菅野さんがワンステップして投げていた100メートルの遠投を、僕はノーステップで投げ返すことができました。菅野さんに「戸郷のプロフェッショナルな遠投は、(他人に見せて)おカネが取れる」とほめてもらって、本当に嬉しかったです。