『オールド・ボーイ』『お嬢さん』などで知られる韓国の鬼才パク・チャヌクと世界で活躍するイ・ビョンホンがタッグを組んだコメディ・スリラー『しあわせな選択』が公開中だ。各国の映画祭でも絶賛されているこの話題作について、来日したイ・ビョンホンにインタビューした。

撮影:平松市聖

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 人気、実力ともに韓国を代表する俳優イ・ビョンホン。『JSA』の監督パク・チャヌクと組んだ最新作『しあわせな選択』では、自分の居場所は自分で作るとばかりに、就活のために殺人を犯す男マンスを変幻自在に表現し、米ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネートされるなど、キャリア最高の名演を見せている。

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『しあわせな選択』

 筆者は今まで何度かイ・ビョンホンにインタビューをする機会に恵まれているが、いつも感心するのはその受け答えの明晰さ。映画の中で製紙業界にこだわるマンス同様に「演技しかできない」とは言うものの、きっとどんな世界でも成功したはずだと思わされる、俊才だ。言い換えれば彼がその才能をストイックに俳優業に注ぎ込んでくれるおかげで、毎回圧巻の演技を見られる、とも言える。

完成した映画の自分を観て驚くことがたくさんある

――『しあわせな選択』、とても面白かったです。何より不思議なのはビョンホンさんが、いつもと全然顔つきが変わっていることです。それは表情をマンスらしくするために意識しているのか。それとも、マンスという人物を理解して演じるうちに顔つきまで変わってしまうのでしょうか?

イ・ビョンホン どんな演技をする時もそうなんですが、表情を考えながら演技をすることはしませんね。作品に入る直前も、撮影をしている最中も、僕はずっとそのキャラクターや、あるいはその人物に与えられた周りの状況、またその人物の感情の状態といったものに本当に深く入り込んでいき、その中に留まろうとする。そうすると完成した映画を見て、自分にあんな表情があったのかと驚く瞬間がかなりたくさんあるんですよ。もし表情を考えながら演技をしていたら、その瞬間からもう感情から冷めてしまっていると思うんです。ですので、本当にただ感情に忠実に演技をしていると、あんな表情が出てくるのではないのかなと思いますね。

『しあわせな選択』

――なるほど。目の前にいるビョンホンさんと違い、マンスがハンサムに見えないのは本当に不思議でした。

イ・ビョンホン 今、僕はヘアメイクをちゃんとして、仕事の場にいるからそう見えるんですよ(笑)。実は普段の自分の姿っていうのは、どちらかというとマンスに近いかもしれません。