「いったいここはなんなんだ!?」
「どうしてこうなった!?」
つい、そう思わずにはいられない“非日常的な小宇宙”が日本各地に点在する。ここでは、そうした珍スポットがまとめられた『ニッポンの異空間 ふだん着で行ける秘境』(大和書房)の一部を抜粋。
栃木県と大阪府にある異質な建造物を写真とともに紹介する。
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建築にもある魅力的な複雑系・要塞建築
外観のおもしろい建築物をこれまでいくつも本で取り上げてきている。
「不思議建築」とか「要塞建築」はまだしも「珍建築」はやめてくれ、部外者が事情もわからないのに好き放題言いやがって。きっと建築関係者はそう思っているに違いないと、どこかで思いつつだ。
建築基準法その他関連法規を遵守し、都市計画を含むさまざまな建築制限をクリアしつつ、建築利用者や周辺の環境・住民への配慮も忘れず、施工主の予算・希望を聞く……などもっといろいろありそうだが、さまざまな制約の中で設計する建築ってとんでもなくたいへんなものだと想像できる。なのに、ほとんど外観のみに注目し、部外者があれこれいうなんておこがましい。
でも、日常空間に異質な建造物があれば、それは非日常空間、《異空間》となる。誰の目にも触れるものだし、20年以上も《異空間》を探し求めている身としては、イヤでも目に入る建築は避けるわけにはいかないのだ。建築に興味を持つ人が増えるきっかけになればよいのでは?
なんとなく入り組んだ複雑な形状で、できればコンクリート打ちっぱなしとか鉄骨がむき出しな感じのダイナミックで巨大な建造物を勝手に「要塞建築」としている。たとえば、「日光市今市文化会館」(栃木)。
温泉に行く途中に偶然見かけたのだが、ファサード(正面)は庇が必要以上に前に飛び出し、巨大クワガタのごとく近づくものはなんでも挟み潰してやるといった感じ。また、ひときわ高く突き出た部分は、正面方向に向かってミサイルやレーザービームを発射しそうな雰囲気をまとっている。丹下健三門下の神谷五男氏の設計で、非常に大胆なフォルムで見ていて飽きない。ものすごくカッコいいのだが、建物の老朽化などの関係で2025年9月から休館となっており、今後どうなるのか心配だ。

