台湾野球の目標は「WBCで日本に勝つ」

 今回の戦いを通じて、台湾野球の進化も浮き彫りになった。

 かつては守備の乱れから自滅するシーンも多かったが、今大会は4試合で失策がゼロだった。

「今の代表は、2019年のU-18で世界一を経験した黄金世代が中心です。彼らは海外選手に対しても物怖じしない。また、トップの高校ではスポーツサイエンスや動作解析が導入され、少数精鋭ながら着実に底上げがなされています」(駒田さん)

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 一方で、課題も依然として多い。

 勉学が重視され、中学・高校の部活動の習慣がほとんどない台湾において、トップレベルの高校野球部は40校程度に過ぎず、4000校に迫る日本の高校野球の裾野とは比較にならない。今回の台湾代表も半分の選手が卒業後、すぐに日米へ流出している現状がある。

「今、台湾プロ野球(CPBL)には親企業として有力企業がつき、環境が劇的に良くなっています。国内リーグが盛り上がり、国内経由でも良い契約で海外へ行ける流れができれば、層はさらに厚くなるでしょう。今後20年、30年かけて『WBCで日本に勝つ』。簡単ではないですが、それが台湾野球が目指す最終章になるはずです」(駒田さん)

激しい浮き沈みこそが台湾野球の醍醐味

 1次ラウンドの全4試合を通じて、激しい浮き沈みを見せた台湾代表。それでも、駒田さんは「この起伏こそが台湾野球の魅力」だと語る。

「勢いに乗ったらプレミア12のように大物食いをするけれど、落ち込むとスコッと負けてしまう。非常に人間らしいんです。勝ち続けるチームを見たければ、侍ジャパンを見ればいいですが、私が台湾野球にひかれるのは、選手との距離の近さや人懐っこい選手がすごく多いことです」

 1次ラウンドで残念ながら敗退してしまったものの、連日4万人超えのファンで東京ドームを揺らしたあの熱狂は、単なる一大会の盛り上がりにとどまらないはずだ。日本戦での絶望からチェコ戦での再生、そして韓国戦での歴史的勝利によって変わった台湾野球が日本に追いつく日は、そう遠くないのかもしれない。

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