日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
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KDDI不正の陥穽
通信大手のKDDI(松田浩路社長)が不正会計問題に揺れている。
舞台はインターネット接続事業の草分けであるビッグローブ(山田靖久社長)と、ポイント事業を手掛けるジー・プラン(竹内庸真社長)の傘下2社である。発端は昨年12月、両社が推進したウェブ広告代理事業での一部取引先からの入金の遅延だ。同事業はここ数年、売り上げが急増したため、監査役や内部監査部門が与信などの観点から社内調査を始めた矢先だった。
今年1月中旬、KDDIが外部弁護士らによる特別調査委員会を設置すると、調査とともに不正の範囲が拡大。売上高の水増しは最大で2460億円、営業利益で最大500億円にも上っていたのである。
行われていたのは架空循環取引と呼ばれる手法だ。広告代理店から広告枠を仕入れ、それを媒体に掲載する別の代理店に販売する仲介ビジネスを行っていたとされたが、実際には掲載された形跡がなかった。販売したはずの広告枠が業者間を転々とした挙げ句、またビッグローブなど2社に戻っていた。発注書などの証憑(しょうひょう)類は揃っており、広告代金の入出金も行われていたが、偽装行為だったのだ。
主導したのはジー・プランからビッグローブに出向した社員2人とされる。悪用されたのはKDDI本体が余剰資金を子会社に配分するグループファイナンスだ。広告枠が転々とする間、介在企業には手数料などが支払われており、KDDIから外部に流出した総額は330億円にも上る。
架空循環取引は20年ほど前からIT業界で何度も起きてきた。
※この続きでは、高評価を受けてきたKDDIの経営について振り返っています。約5500字は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
★KDDI不正の陥穽
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