「オレの他にもいいピッチャーはたくさんいる」という思い

 決勝ラウンドからは一つも負けられない戦いが始まる。かつて、銅メダルを獲得したバルセロナ五輪メダリストでもある伊藤コーチに、短期決戦における心構えを尋ねた。

「僕が印象に残っているのは銅メダルをかけた3位決定戦に先発したときのこと。“ここで負けたらメダルはない”という重圧の中でのピッチングだったけど、後先考えずにめいっぱい投げました。ペナントレースであれば2巡目、3巡目を意識した配球になるし、ペース配分も考えなければいけないけど、短期決戦ではそうじゃない。余力を残している暇はない。その思いで投げてほしいですね」

 そしてもう一つ、侍ジャパン投手陣にアドバイスを送る。

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「僕もそうだったし、今大会でもそうですけど、“オレの他にもいいピッチャーはたくさんいるんだ”という思いを忘れないこと。そして、監督、コーチとしては、きちんと当日の状況を見極めること。ビッグネームもたくさんいて気を遣うことも多いとは思うけど、初見のバッターからすれば本当に厄介だと思うので、状態のいい選手をどんどん使っていってほしい。それが僕の希望ですね」

現役時代、1997年の日本シリーズ西武ライオンズ戦で8、9回を打者6人で抑えた伊藤智仁氏 ©文藝春秋

 続けて、「こんな豪華な投手陣で、ぜひ戦ってみたいものだね」と伊藤コーチは笑った。 冒頭で述べたように、今大会ではいまだ本調子でない近藤、村上の起用はどうなるのか? 準々決勝、準決勝、そして決勝へと続く3連戦の先発は誰が務めるのか? ここからは少しも気が抜けない戦いが続く。勝負は時の運ではあるものの、ぜひとも侍ジャパンには2度目の連覇を実現してほしい。伊藤コーチは言う。

「ここまで来たら、選手たちには悔いのないように思い切ってプレーしてほしいし、首脳陣にもベストを尽くしてほしい。チェコ戦では村上に満塁ホームランも飛び出したし、ここから、どんな戦いになるのか? どんな名場面が生まれるのか? 僕も一ファンの立場になって侍ジャパンを応援するつもりです。ぜひ、健闘を祈っています」

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