WBCで“波乱”が起きた。数多くのタイトル経験者を擁し、“史上最強のスター軍団”と称されるアメリカ代表を破り、イタリアがプールBの1位通過を決めた。これによってアメリカ代表の決勝ラウンド進出が一時あやぶまれることとなり、話題を呼んだ。

アメリカ・メキシコ両国を下してプールBを1位通過したイタリア代表(WBC公式Instagramより)

 こうしたジャイアントキリングだけでなく、ベンチにエスプレッソマシンを持ち込み、ホームランセレブレーションで優雅にコーヒーを味わう姿にもじわじわと注目が集まっているイタリア代表。イタリアのプロ野球リーグでプレイした経験があるG.G.佐藤氏によると、国内では試合前に選手や審判がワインを酌み交わすこともあるのだとか。

 西武に所属し、プロ野球選手として日々過酷なプレッシャーにさらされる中で「一時期、野球がちょっと嫌いになってしまっていた」と語り、その後イタリアの陽気な環境に身を置いて救われたというG.G.佐藤氏に、イタリア野球の文化などを聞いた。

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「三振したってエラーしたって、ワインと俺たちがいればいいだろ」

「プロの世界って結果こそ全てじゃないですか。結果が出なければ自分には価値がないと思ってたし、自分が存在する意味はないと思ってた。そうやって徐々に心が病んでいったんです。

 でも現地のイタリア人に言われたんですよ。『G.G.は仕事で結果を出した自分に価値があるって思ってるだろ?』『違うよ、逆だよ。価値ある自分だからこそ仕事で結果を出すことができるんだよ』『自分には価値があるっていう思考習慣を徹底的に鍛えなさい。そうしたらどんな時もイタリア人みたいにハッピーに生きられるから』って」

 イタリア人気質を表す言葉に「マンジャーレ、カンターレ、アモーレ」がある。「食べて、歌って、恋をして」。塞ぎ込んでいたG.G.佐藤氏を救ったのは、まさにそんなイタリア精神だった。

「病んでいたので、結構いろんな人に質問したんですけど、みんな同じことを言っていた。ほとんどの人が『俺はワインと仲間がいれば生きていられるよ』って。三振したってエラーしたって、ワインと俺たちがいればいいだろ、G.G.? って。イタリアの文化に触れて、だいぶ視野は広がりましたね」

 サッカーという超人気スポーツではなく、敢えて野球に取り組むイタリア人選手たち。そんな彼らとの触れ合いは、日本的野球思考に凝り固まっていたG.G.佐藤氏を徐々に解きほぐしていった。