試合前にパーティー、ワインを飲んだ審判の「ストライクゾーン」が広くなることも
「野球はイタリアで本当にマイナーなスポーツ。じゃあなぜ選手たちは野球をやっているのかといったら、テレビや何かでふと野球に出会うらしいんですね。その時に『こんな楽しいスポーツがあったのか!』って衝撃を受けて始めるので、みんな野球が好きで好きでしょうがないんですよ、国内リーグでやってる子たちって。そんな彼らとプレーしてるうちに、俺もどんどん野球楽しいの気持ちを取り戻せました」
日本のプロ野球でプレイしていたG.G.佐藤氏は、イタリアの選手たちからすれば超スーパースター的存在。
「いや、もうG.G.佐藤なんてとんでもないメジャーリーガーですよ、イタリアの野球選手からしたら。海の向こうからやってきたスーパースター・G.G.佐藤。みんなすごく質問してくるんです。ほとんどが野球の技術的な側面についてね。基本のキがないから、やっぱり。知ってる限りの知識はイタリアに置いてきました。いわばイタリアの野球選手はみんな俺の後輩です。はっはっは」
「日本野球の待遇面についてもよく聞かれたなぁ。その当時俺が一番チームの中で高待遇で、月給10万円と、住むとこ食べるとこ、あと車は支給される。たぶんリーグの最高年俸だったと思います。ほとんどの選手が兼業で、学校の先生もいたし、保険の営業や不動産会社をやっていたり……いろんな人がいましたね。一番びっくりしたのは銀行員兼野球選手がいたこと。日本じゃ考えられないじゃないですか」
G.G.佐藤氏をさらに驚かせたのは、イタリア野球の「おおらかすぎる」ほどのおおらかさ。
「イタリアの国内リーグは金土が試合なんですけど、毎週木曜日に決起集会という名のバーベキューをするんです。どんちゃん騒ぎしてから翌日試合にのぞむという謎のルーティンがある(笑)。土曜日がダブルヘッダーなんですけど、午前中に試合をして、その後に相手チームと審判とランチを食べるんです。
これは主催側が用意するんですけど、パスタとかピザとか、なぜかそこにワインも出てくる。審判もワインを飲むから午後の試合、ストライクゾーンがやたら広くなります(笑)。まあイタリア人にとっちゃ、ワインは水みたいなもん。そうやってみんなで和気藹々、ピクニックランチを楽しんで、2試合目が終わった瞬間にビールを開ける。もちろんイタリアのビール、モレッティね」
