「あれからここまで……13年もの間みんなが求めてるものを普通にやってるのがすごいですよね。あれだけ多くの人たちが大谷翔平選手を見に来る中で、予想以上の結果を残すというのは。彼の野球に対する姿勢や準備の仕方がすごいから、大事な時にここぞというものが出せるんだと思います」

 何の巡り合わせか、WBC2026侍ジャパンのラストバッターになった大谷翔平。9回裏2アウト、大谷の打ち放ったボールがスタンドに届くことはなかった。何か運命めいたものを感じました……と水を向けると、三嶋は毅然としてこう答える。

「僕はあまりそういう『ドラマ的な見方』はしたくないんです。彼が絶対最後まで諦めずに、勝つことだけを考えてあの打席に入っていたのは間違いないと思うから。本当に野球への取り組み方を良い方向に変えてくれた人なんですよ。ラストバッターが大谷翔平は絵になるという見方は、彼にとって失礼だと思います」

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「彼の数々の発言もそうですし、実際暇さえあれば練習やウェイトをしているという話も聞きます。WBCから帰ってきた選手からそういう話を聞くと、その徹底ぶりが半端じゃないということがわかる。あれだけ世界で活躍して注目されている選手がそれをやっているということ、本当にリスペクトしています。でも彼にとっては、それが『普通』なんでしょうけどね」

打率4割、ホームラン3本という大活躍をした大谷翔平 ©文藝春秋

「『勝つのが当たり前』ってこれほどプレッシャーがかかることはない」

 WBCでの連勝記録は11でストップした。この「負けの経験」はチームに一体何をもたらすのだろうか。

「今まで本当に勝ち続けてきて……『勝つのが当たり前』ってこれほどプレッシャーがかかることはないと思うんですよ。選手はもちろん、監督、コーチ、スタッフも含めて、計り知れないプレッシャーの中で、日本代表として戦ってくれたことを僕は本当に誇りに思います」

「負けや悔しさから這い上がって、またチームを作って、優勝に向けてみんなでやっていく——日本にはそういう素晴らしい文化があると思う。僕それが『侍魂』なんじゃないかなと思っています」

「負け」から立ち上がる、「悔しさ」から這い上がる……それはまさに三嶋一輝の野球人生そのものでもあった。

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