8回表、回跨ぎの種市投手は自らの牽制悪送球で相手チームに1点を献上してしまう。「もちろん自分でピンチを広げるのは気持ちいいものじゃないですよね」と話しつつ、三嶋はこう続ける。

「この大会を通じて状態が一番いいピッチャーとして、イニングをまたいででも行ってくれという形で任されていた。本当に、彼はこの大会を通じて得るものが大きかったと思うし、これだけの重責を背負ってくれて、本当に尊敬します。東京からマイアミへ環境が一気に変化した中で、一生懸命投げる姿は、野球選手として本当に心打たれました」

「野球選手として本当に心打たれました」という種市篤暉 ©文藝春秋

「本人は……すごく悔しかったと思いますよ」

 大谷翔平、鈴木誠也、そして菅野智之。この3人は三嶋と同じ2012年ドラフト組でもある。年齢的にも、もしかしたら侍ジャパンとして試合に臨むのはこの大会が最後になるのかもしれない。1回裏にヘッドスライディングで盗塁を試みた鈴木誠也が、その時のケガで途中交代。三嶋も認める「熱い男」鈴木誠也らしさでもあり、野球の無情さでもある。

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「本人は……すごく悔しかったと思いますよ。チームを引っ張ってきた一人ですから。前回の大会に出られなかったこともありますし」

最終戦でヘッドスライディングを見せ負傷交代した鈴木誠也 ©文藝春秋

 鈴木誠也に代わりセンターを守り3番に座ったのは、阪神の若き主砲・森下翔太だった。

「途中から出ていく選手のプレッシャーってものすごいと思います。その中で、ああやって結果を残した森下選手は本当にすごいなと思いましたし、3年後もっと成長して日本の中軸を担ってくれるでしょう。彼はルーキーの頃から、新人らしからぬ力強いスイングをしていたし、何よりしっかりと踏み込んでくる。いいバッターの条件を全て満たしてると思います」

 三嶋一輝の同期入団のもう1人、大谷翔平。大谷のことを聞くと「そこまで近くにいたわけではないし、イメージだけで彼を語るのは避けたいです」と三嶋は慎重に答える。大谷と投げ合ったのはルーキーの頃にファームで1度きり。しかし三嶋には大谷翔平の凄みを体感した出来事があったと話す。

「あれは1年目のオールスターの時。ベイスターズからは三浦(大輔)さん、中村紀洋さん、ブランコ、それに僕が選ばれて。そうしたら三浦さんをはじめ、大谷翔平と対戦したベテランのピッチャーたちが口々に言うんですよ。『あれは19歳の落ち着きと構えじゃない』って」