WBCに沸き立つ最中の、3月14日。横浜スタジアムに三嶋一輝の姿があった。
ソフトバンクとのオープン戦後に行われた引退セレモニー。パリンガシャーン。ガラスが割れる音が印象的な『I Won’t Do What You Tell Me』が流れると、マウンドにユニフォーム姿の三嶋が登場した。
「試合で投げるのかな? みたいな、そんな感じでちょっとドキドキしていましたね(笑)。スピーチも実は何も準備していなかったんですよ。球団への感謝、家族と両親への感謝、そして最後にファンの方への感謝——という構成だけ決めて、内容は全く決めずに、その時思ったことを言おうと。360度見渡して、チームメイトが並んでいる姿を見て、その上で感じたことを話しました」
そんな三嶋のスピーチは「13年間先発として球団に期待をされ、それをしっかり裏切り、球団には本当に迷惑をかけました」という公開謝罪で始まった。
「あの場に並んでいたチームメイトの中で、僕が(2014年の)開幕投手を任されながら9失点という結果になったことを知っているのは、おそらく筒香と宮﨑(敏郎)さんくらいしかいないんです。だから他の選手たちにも『俺は本当にひどい裏切りをしたんだ』ということを最初に伝えたかった(笑)」
そう言って三嶋ははにかむ。スピーチ後のラストピッチは、同級生である戸柱(恭孝)がキャッチャーを務め、打席に立ったのは同期入団の宮﨑。
「吹っ飛んでいいから思いっきり投げる、と」
「この3ヶ月の間キャッチボールを2回しかしていなかったので、正直どれくらい投げられるかわからなくて。試合前に山﨑(康晃)選手と宮城(滝太)選手が室内練習場に来てくれてキャッチボールをしたんですが、全然腕が振れない。『これはまずいな』と思いながら(笑)。2人は『めっちゃいいです!』って一生懸命乗せてくれようとしてましたけど」
三嶋が投じたラストボールは、大きく一塁側に外れた。
「軽くストライクを取りに行くようなピッチングは俺らしくないから、吹っ飛んでいいから思いっきり投げる、と。そうしたら宮﨑選手も打席に立っていたので、しっかり引っ掛けてしまいましたけど、あれはあれで僕らしくてよかったかなと(笑)」
「宮﨑さんとはルーキーの頃から一緒で、ヒーローインタビューで一緒に並ばせてもらったこともあったし、2人でよくご飯に行ったりもしていました。九州の、どっしりとした性格の男で、本当に頼りにしていましたね。13年間一緒にやれたことは本当に光栄です。まだまだ、もう体ボロボロになるまで頑張ってほしいと思います」
