オールカラーで全国各地の植物園を紹介する『植物園の歩き方』が注目を集めている。版元のグラフィック社では発売即重版がかかったという本書の著者は、漫画家・イラストレーターのカシワイさん。京都在住で、本書にも登場する京都府立植物園の年間パスポートも持っているほどの植物好きだ。
「もともと植物や動物など生き物が好きで、自宅ではキンカチョウを2羽と、イモリを飼っています。植物は、室内にもベランダにも置いて育てています。
府立植物園は徒歩圏内のところにあって、散歩をするのにちょうどいい。考え事をするのにも、ただ歩くのにもよい場所です」
植物学者・保谷彰彦氏の監修のもと、カシワイさんが取材した植物園をイラスト漫画で紹介している。
「植物園のセレクトは、園芸雑誌出身の担当編集者さんが、地域の偏りなどに気をつけつつ選んでくれました」
主に登場するのは、京都府立植物園のほか、草津市立水生植物公園みずの森、宮崎県総合農業試験場亜熱帯作物支場「有用植物園」、筑波実験植物園、伊豆シャボテン動物公園、高知県立牧野植物園、東南植物楽園、北海道大学植物園、仙台市野草園の9カ所だ。北は北海道、南は沖縄まで足を運んだ。
「どの植物園もそれぞれの魅力があって素晴らしいのですが、特に印象的だったのは、高知県立牧野植物園でしょうか。朝ドラのモデルにもなった牧野富太郎ゆかりの園です。ここは敷地が広いのですが、隅々まで手入れが行き届いていて。他の植物園もそうですが、地元の人にとても大切にされている印象がありました。
また、私は『大きい木』が好きなんです。なので、沖縄の東南植物楽園もよかったですね。気候を生かして植物が屋外で栽培されているので、木がどんどん伸びていて、50年以上をかけて、20メートルを超えているものもありました。
漫画では、一人称のモノローグで退屈にならないように、個人的に好きなたぬきのキャラクターをお供にして描きました」
南北に長い日本の風土では、それぞれの土地に息づく植物が大きく違う。そのバラエティーの豊かさをカシワイさんの繊細でカラフルなイラストで味わえることが、本書の大きな魅力の一つだ。
「本の冒頭に、植物園へ行くときの持ち物リストをつけているのですが、そこで紹介しているルーペは牧野植物園に行った時に購入したものです。植物は形が美しい、と常々思っているので、なるべくじっくり観察するようにしています。葉の裏側の葉脈までもらさず見ます。
植物園についても、どんな植物があるのか事前に調べたり、展示パネルも読み込みます。だから説明が細かいとありがたい(笑)。家には植物図鑑も数冊置いてありますし、図書館でも調べたりして、取材のあとも確認しています。植物を描くときは表現としてデフォルメはしますが、間違ったことは描かないように気をつけています。
もともと植物が好きなのに、取材に行って詳しくなってしまったから、家の植物がさらに増えてしまいました(笑)。今はリュウビンタイ、フランスゴムの木、コウモリランなどがあります」
カバー裏には、全国の植物園のマップもついている。
「3月は植物園にも春の気配が満ちていて散歩もおすすめです。時期的には梅や福寿草など。個人的には神戸市立森林植物園に行ってみたいです」
漫画家、イラストレーター。京都市在住。書籍や雑誌の表紙、広告のイラストレーションを多く担当する。著書に『風街のふたり』『107号室通信』『カシワイ作品集 KASHIWAI ILLUSTRATIONS』など。

