もはやイオンの「一部隊」でしかなくなった

 話をダイエーに戻すと、イオン傘下となったダイエーもこうした環境変化の影響から逃れることはできなかった。食品スーパーへの転換(移転新設、売場のテナント化など)に追われたこの10年だったようである。現在のダイエーの店舗の様子をみてみると、引っ越ししてコンパクトな食品スーパーに変わっていたり、2階以上をテナントに転換したり、前の店をつぶして新たに食品スーパーとして建て替えたり、ということをやっていたようだ。

 ただ、その結果として、今のダイエーには総合スーパーの名残はもうほとんどないようだ。だからこそイオンはダイエーの店舗について、グループにおける首都圏食品スーパー連合軍であるUSMHへ合流させると決意できたのだろう。

「イオン」「イオンスタイル」の出店数トップは北海道だが、人口に対しての出店数では2位になるなど、三重県はまさに“イオンのお膝元”(写真はイメージ) ©iStock.com

 インフレ転換後のスーパー業界は「価格転嫁の難しさ」、「冷凍冷蔵電気代高騰」、「人手不足と人件費高騰」の三重苦にあえぐ。特に中堅・中小スーパーの場合は収益力を奪われて続々と赤字の危機に陥っている。イオンを始めとする大手スーパーはここから一斉に攻勢をかけ、業界再編を進めていく時代が来ている。

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 その意味では、ダイエーは再構築の時期を終え、最終決戦への合流に間に合ったということになるだろう。イオンにとってかつて仰ぎ見たライバルだったダイエーもいまや、首都圏のトップシェア確立や関西攻略のための一部隊でしかない。もはや、ダイエーは最前線に立たされる外様大名のようなもので、そのブランドも出身地である関西のオールドファン向けに残しているくらいのものなのであろう。

 環境変化に適合できなかったダイエーは、昭和→平成→令和のスピード感についていけず20年ちょっとの天下だった。より変化の速いこれから、過去の遺産に依存する企業は10年ももたないということなのであろう。

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