熱心なMAGAがやめていく
極右の民兵組織「オース・キーパーズ」の設立者であるスチュワート・ローズもまた、イランへの攻撃を理由に「私はもはや自分をMAGAとは呼ばない。私は『アメリカ・ファースト』の愛国者だ」と語った。
大統領選でトランプがバイデンに負け、2021年1月6日、数千人ものMAGAが「不正選挙」を唱えて米国議事堂に突入した。ローズ率いるオース・キーパーズも乱入しており、ローズは逮捕され、反逆陰謀罪で18カ月の刑を言い渡されたが、トランプによって減刑されている。そのローズがMAGAをやめたのだ。
アレックス・ジョーンズは、2012年に起こったコネチカット州サンデーフック小学校での乱射事件を「やらせだ」「犠牲者を演じていたのは子役だ」とするデマを何年間も繰り返し、遺族への名誉毀損の賠償金14億ドルの支払いを命じられている陰謀論者だ。このジョーンズすら、イラン攻撃は「アメリカ・ファースト」のメッセージに反すると発言している。
政府高官が辞任を表明
トランプはこうしたMAGAインフルエンサーの「謀反」に怒り、3月15日、自身のSNS、Truth Socialに以下のポストを行なった。
「彼らはMAGAではない。MAGAとは私だ」(THEY ARE NOT MAGA, I AM,)
その2日後、3月17日にはトランプ政権の国家テロ対策センターのトップ、ジョー・ケントがイラン戦争への反意から辞任を表明した。
公開された辞任状には「我々がこの戦争を始めたのは、イスラエルおよびその強力な米国ロビーからの圧力によるもの」など、強い反イスラエル文言が並べられている。さらに、そうした者たちにトランプは「騙された」とあり、トランプをさらに激怒させた。
ケントは元米軍の特殊部隊兵であり、11回の実戦経験を持ち、同じく米軍人であった妻は2019年にシリアで戦死しているが、同時に熱烈なMAGA、かつ陰謀論者としても知られている。極右の白人至上主義者や民兵組織、キリスト教国粋主義団体などと親しく、辞任の翌日には先に挙げたタッカー・カールソンの番組に出演し、親しい友人であるカールソンと対談している。
ケントはそこでもカールソンと共に、「2024年のトランプ暗殺未遂事件や2025年の右派論客チャーリー・カークの暗殺にはイスラエルが関与している可能性」を主張した。インフルエンサーではなく政府高官の脱MAGAは、トランプにとってさらに大きな痛手となる可能性がある。(文中敬称略。つづく)
