「良かった、彼が死んだことをうれしく思う。」

 トランプ米大統領のSNSでの投稿である。亡くなったのは、いわゆる「ロシア疑惑」の捜査を指揮した元FBI長官のロバート・マラー氏だ。政治的に対立した人物とはいえ、その死を歓迎するかのような言葉を公に発するのは異様と言っていい。こうした人物が現在のアメリカ大統領なのである。

高市首相の発言をめぐる各紙の温度差

 自らが「敵」とみなした相手には徹底的に攻撃を続け、支持者に向けて煽る。それがトランプ政治の一つのスタイルと言われる。そしてそのアメリカは、日本にとっての同盟国でもある。だからこそ、日本の首相がこの指導者とどう向き合うかが注目された。

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 高市早苗首相は3月19日の日米首脳会談の冒頭、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と述べた。

アメリカ・ワシントン近郊のアーリントン国立墓地を訪れた高市早苗首相 ©時事通信社

 この発言は度が過ぎた媚びだったのか、それとも計算しつくされた交渉術だったのか。

 21日の社説では朝日、毎日、東京の各紙は、日本の主体性が見えにくい対米姿勢ではないかと疑問を示し、「法の支配」を掲げてきた日本外交との整合性に課題を指摘した。一方で読売は日米関係に亀裂を生じさせなかった点を評価した。産経は唯一の同盟国である米国の大統領とは良好な関係であらねばならないとし、「ファーストネームを使ってトランプ氏に賛辞を贈ったのは間違っていない」と断じた。

 ほかにも産経は1面で「高市早苗首相はトランプ大統領からの無理難題をかわした」という一覧表をつくり、トランプ氏の息子のバロン氏について「イケメンに成長されていると伺っている。間違いなくご両親に似たのだと思う」という高市発言も手柄に挙げている。

 さて、各紙の違いを紹介しておいてなんだが、トランプを絶賛する高市発言にはそれほど驚きはなかった。2人はどこか似た者同士に見えるからだ。いずれも言葉を戦略的に曖昧にするより、そのまま発して支持者に直接届ける政治スタイルを特徴としている。